フリーランスという働き方に憧れを持っていても、「実際にどんな1日を過ごしているのだろう?」と疑問に思う方が多いようです。私自身、フリーランスになる前は同様の疑問を抱いていました。
会社員時代と違って決まった始業・終業時刻はなく、自分でスケジュールを組み立てられるのがフリーランスの魅力であり、難しさでもあります。その一端を、覗いてみませんか?
今回は、実際にフリーランスとして活動している女性3人の「リアルな1日」をご紹介します。あなた自身のライフスタイルと照らし合わせながら、「こういう働き方ならできそう」「この工夫は取り入れたい」と感じてもらえれば嬉しいです。
ケース①:Webディレクターの1日(大学生・高校生の子どもあり)

まずは、複数のクライアント案件を回しながら働くWebディレクターAさん(神奈川県在住)の1日です。
子どもは大学生と高校生。育児の手は離れているため、比較的業務に集中しやすい環境ですが、家庭との両立ならではの工夫もあります。
スケジュール
6:20 起床・朝食
朝は6時20分に起床。まずはコーヒーとトーストのカンタンな朝食をとり、一日のスイッチを入れます。
高校生の次男が洗濯係(単価制)になってから、朝の家事が格段にラクになりました。
9:00〜 クライアントAの業務
午前はクライアントAの業務に集中。進行管理や記事チェック、既存記事の修正を担当し、A社から都度入る依頼にも対応します。
工夫しているのは「タイムレコーダーをONにしたら、OFFにするまでA社だけに集中する」というルール。他クライアントからのチャットやメールが来ても開かず、気が散らない仕組みをつくっています。
昼食(不定時)
午前の仕事が終わったタイミングで昼食。お腹が空いていなければ無理して食べないこともあります。
デスクで軽く食べる日もあれば、大学生の長男が作ってくれる昼食をリビングで一緒に食べる日もあり、気分に合わせて柔軟に。
急ぎの業務がなければ、15時まで自由時間です。
15:00〜 クライアントBの業務
当初は進行管理や記事チェックがメインでしたが、現在はグラフィック制作がメインです。画像制作アプリやiPadを駆使して作業を進めます。
打ち合わせは時々ありますが、すべてオンラインです。移動がないのはうれしいですね。
B社業務終了後〜 クライアントCの業務
B社業務のあとにはクライアントCの採用面接関連の業務を行います。面接件数によって作業量は変動。
19:00 終業
基本的には19時前後に仕事を終えます。午前に用事があった日や面接件数が多い日は日付が変わる時間まで仕事することもありますが、それ以外は「夜は働かない」と決めてオンオフを切り替えています。
以前は夜遅くまで仕事していましたが、子どもが大きくなると部活やバイトで帰宅時間がマチマチになり、何度も夕飯の支度をするハメに……。集中力が途切れるので、夜は仕事をしないことにしました。
夜のリフレッシュ
最近の楽しみは、YouTubeでバイク関連の動画を観ながら原付ツーリングの計画を立てること。
Google Mapとにらめっこしながら、2段階右折回避ルートを考える時間が、日々の大きな息抜きです。
また、夜開催されるウェビナーに参加することもあります。生成AIや校閲・校正のウェビナーなど、仕事に直結するものばかりです。
作業環境・ツール
- 作業場所:自宅の和室の広縁(狭いが集中できるスペース)
- ツール:Notion、スプレッドシート、Obsidian、クライアント指定のチャットツールなど
Notion製の自作タイムレコーダーは自信作。月間集計や報告まで一貫してできるようにしました。
大変なこと・好きなこと
- 一番大変なのは夕飯の支度(料理が苦手)
- 一番好きなのは就寝前
料理が苦手で買い物も嫌い。そのため献立をある程度パターン化し、ネットスーパーで食料品をまとめ買いして「何作ろう」にかける時間を減らすようにしています。
就寝前は「すぐ寝てもいいし、気の済むまで趣味をしてもいい」時間。自室で過ごすことが大半です。
ケース②:子育て中Webライターの1日(未就学児あり)

次に、未就学児を育てながらWebライターとして働くBさん(京都府在住)の1日です。
育児と仕事の両立は大変ですが、時間の使い方に工夫を凝らして効率的に働いています。子どもとの時間を大切にしながらも、自分のキャリアも諦めない働き方は、多くの方の参考になるでしょう。
ある1日のスケジュール
7:00 起床・朝の準備
子どもの身支度、朝食、保育園の準備で朝は大忙し。
何でも自分でやりたがる年齢になってきたので、これから少しずつラクになるかな? と思っています。
9:00〜12:00 集中執筆タイム
子どもを保育園に送ってから、午前中はフル集中で執筆。ライター業務はまとまった時間を確保できる午前が勝負です。
12:00 昼食・家事
昼食をとりつつ、洗濯や掃除などの家事を同時進行。
13:00〜15:00 校正・リサーチ
午後は執筆より軽めのタスクを中心に。子どもを迎えに行く前に作業を終えるよう調整しています。
医療関連の執筆は下調べが重要。監修の先生にリジェクトされないよう、念入りに調査します。
15:30〜 子ども迎え・育児タイム
夕方以降は基本的に育児メイン。夜は家族との時間を大切にし、仕事はしない方針です。
子どもを寝かしつけながら自分も寝てしまうことがあります。体の声に耳を傾けて、無理をしないのが鉄則です。
夜のリフレッシュ
子どもが寝た後に、好きなドラマや漫画で気分転換。ときには日記(note)を書いたりSNSで共感を得たりするのが癒しです。
結婚を機に京都に越してきたため、地元にいる親友とWeb飲み会を開いてストレスを発散することもあります。
作業環境・ツール
- 作業場所:リビングの一角にデスクを設置
- ツール:Googleドキュメント、クラウド型タスク管理アプリ(Trelloなど)
自分の部屋がほしいけれど、何だかんだ便利なリビングで仕事するのも悪くないなと思っています。
フリーランスになった時にMicrosoft Officeを購入したものの、今のところ出番がありません。最近Notionに興味が出てきたので、使い方や活用方法をリサーチ中です。
大変なこと・好きなこと
- 大変なのは「集中したいときに子どもが熱を出す」など予定外の中断
- 一番好きなのは、午前の3時間で記事が仕上がった時の達成感
スマホに着信があると「保育園からお迎え要請かも……」とドキドキしてしまう日々です。
ケース③:独身フリーランスデザイナーの1日

最後に、独身でフリーランスのWebデザイナーとして働くCさん(栃木県在住)の1日です。
家族の都合に縛られることなく、自分のペースで仕事を進められるのが大きな魅力。夜型の生活を送りながら、クリエイティブな仕事に集中できる環境を整えています。
Cさんのケースは時間の使い方の自由度が高く、フリーランスの理想的な働き方の一例といえるのではないでしょうか。
ある1日のスケジュール
9:00 ゆっくり起床
朝は会社員時代より遅めにスタート。血圧が低いので、しっかり目が覚めるまでに時間がかかります。
10:00〜12:00 インプット時間
デザインのトレンドチェック、SNSでの情報収集、アイデアスケッチなどのために時間を取っています。
インプットそのもので報酬は得られませんが、仕事のクオリティ向上には欠かせない作業です。
画像関連の生成AIの動向も調べていて、気になるツールは積極的に使ってみます。
13:00〜19:00 デザイン業務
午後はひたすら作業に集中。案件によっては夕方から夜にかけて最も集中力が高まるため、夜型スケジュールになりやすいですね。
集中力を切らさないよう、つい最近スマホの通知設定を見直しました。この時間帯は、クライアントからの連絡だけ通知されるようにしてあります。
20:00〜 クライアント連絡
メールやチャットで修正点を共有。納期前は深夜まで作業することもあります。
今お付き合いがあるクライアントは「修正は指摘ではなく、制作物をより良くする工程」と言っていて、指示がわかりやすいのでスムーズに作業が進みます。
夜のリフレッシュ
仕事の合間や終業後に映画鑑賞やゲームで気分転換。映像配信系はNetflixを契約しています。
また夜ではありませんが、平日昼間に美術館へ行くことも。フリーランスならではの自由な時間の使い方です。
作業環境・ツール
- 作業場所:自宅のワークスペース、時々カフェやコワーキングスペース
- ツール:Adobe Creative Cloud、Slack、Zoomなど
Adobeの月額が高いので、Amazonのセールで1年サブスク契約を一括購入し、費用を削っています。
大変なこと・好きなこと
- 大変なのは「納期前の徹夜作業」
- 一番好きなのは、自由に時間を動かせること
複数の納期と修正依頼が重なると、生活リズムが崩れがち。体調を悪くしないように気を付けています。
平日に混雑を避けて買い物や趣味に出かけられるのは、独身フリーランスならではの強みだと思っています!
時間管理&メンタル維持のコツ

フリーランスとして働く上で、時間管理とメンタル維持は重要な課題です。ご紹介した3名はどういったポイントに気を付けているのか、伺ってみました。
3つのケースから見えてきた共通のコツや、それぞれのライフスタイルに合わせた工夫をご紹介します。
自分に合った方法を見つけて、持続可能な働き方を目指しましょう!
タイムブロッキング
タイムブロッキングとは、「午前は執筆、午後は打ち合わせ」など、時間ごとにやることをあらかじめ区切る方法です。
フリーランスはスケジュールが流動的になりやすいですが、時間を枠で区切ることで、ダラダラ作業を防ぎ、生産性を高められます。
ポモドーロ・短時間集中
25分作業+5分休憩を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」。
特に子育てや家事と並行して働く人には効果的で、「短い集中時間でも成果が出せる」という自信につながります。Bさんはこの方法を取り入れるようになってから、執筆速度が速くなったのだとか。
ポモドーロテクニックについては以下の記事で詳しく紹介しています。
作業環境の工夫
自宅の一角を仕事用スペースにする、コワーキングスペースを利用するなど、オンオフを切り替えやすい環境づくりが大切です。
「ここに座ったら仕事モード」というスイッチをつくるだけでも集中力が変わります。
「正解はない」と知ること
他人のスケジュールを見て「私はちゃんとできていない」と思う必要はありません。大切なのは「自分に合ったリズム」を見つけること。
誰かの真似をするより、自分にとって心地よく持続できる働き方を模索するのがポイントです。

あなたのリズムで大丈夫!
フリーランスの働き方に「正解」はありません。朝型でも夜型でも、タスクをぎゅっと詰め込んでも、ゆるやかに進めても大丈夫。
子育て中で限られた時間をやりくりする人もいれば、夜型で集中する人も。共通しているのは「自分に合ったリズムを見つけている」という点です。
大切なのは、あなたが気持ちよく続けられるリズムを見つけること。
3人のスケジュールを参考にしながらも、あなた自身のライフスタイルに合った働き方を見つけてくださいね。