税金は、本来自分が住んでいる自治体に納めるものです。しかしこの一部を、自分が選んだ自治体へ納められる制度があります。
これがふるさと納税です。
やってみたいけれどよくわからない! どこで納税するの? トクするの? フリーランスでもできる? 疑問は尽きません!
今回はふるさと納税のメリットやデメリット、そしてふるさと納税利用後にやるべき手続きなどを解説します。
※本記事では「寄付(きふ)の表記は基本的に国税庁の表記「寄附」とし、外部サイトに言及する場合は当該サイトの表記に準じます。
フリーランスがふるさと納税をするメリット
ふるさと納税をすると、どんなメリットがあるのでしょうか。以下にいくつか挙げてみました。
実はフリーランスならではのメリットもあるのです!
- 好きな自治体へ寄附できる
- 寄附金の使い道が指定できる
- 返礼品を受け取れる
- 所得控除が受けられる
- 会社員より手続きの負担感が少ない
好きな自治体へ寄附できる
冒頭でも触れたとおり、ふるさと納税は普通の税金と違って納税先が決まっていません。
家族が住んでいる場所、自分が生まれ育った場所、応援したい場所、返礼品が魅力的な場所……など、自由に選択できます。
メリットは減ってしまうものの、今住んでいる自治体への寄附も可能です。
使い道の指定もできる
寄附先(どこに寄附するか)だけでなく寄附金の使い道を自分で指定できる点もふるさと納税の大きなメリットです。
自治体が使い方を公開しているので、お金の使い道を考えながら寄附先を決められます。
自分が納めたお金が何に使われるのか明確になっていると、安心して寄附できますね!
返礼品を受け取れる
ふるさと納税をすると、寄附先の自治体からお礼の品を受け取ることができます。これが「返礼品」です。
返礼品は、食品や工芸品といった地域の特産品のほか、旅行など体験型のギフトまで幅広く展開されています。
その地域を訪れないと味わえない食品、入手できないアイテムもたくさん揃っているので、自宅にいながらにしてちょっとした旅行気分が味わえるのも魅力です。
所得控除が受けられる
自治体に寄附した金額は、所得控除の対象になります。
控除対象の税金は、所得税と住民税の2つです。
- 所得税:ふるさと納税をした年の税金が対象
- 住民税:ふるさと納税をした翌年度の税金が対象
ただし寄附金のうち2,000円は自己負担となるため、寄附総額のうち2,000円を超える部分が対象です。
会社員より手続きの負担感が少ない
最後のひとつは、フリーランスだからこそのメリット!
ふるさと納税をしたフリーランスは確定申告で納税額を申告します。確定申告は毎年行っているものなので、特に手間が増えることはありません。
しかし会社員がふるさと納税をした場合、通常はしなくてよい確定申告をしなければなりません(ワンストップ特例制度については後述)。
というのも、ふるさと納税は毎年12月31日までの寄附総額で税務計算を行うため、勤務先の年末調整には間に合わないのです。
フリーランスがふるさと納税をしても手間が極端に増えるわけではないので、負担を感じることなく納税できるのです。
フリーランスのふるさと納税、ここに注意!
ふるさと納税は非常に魅力的な制度ですが、残念ながらメリットばかりではありません。寄附を有意義なものにするために、注意点も知っておきましょう。
- 節税にはならない
- 上限額が決まっている
- ワンストップ特例制度は使えない
「えっ、そうなの!?」と驚いた方は要チェックです!
節税にはならない
ふるさと納税には節税効果がありません。
「所得控除を受けられる」という表現で誤解しがちですが、あくまでこの寄附は「納税」です。
本来支払うべき所得税・住民税を前倒しで支払い、あとから手元に戻ってくる。
このように表現するとわかりやすいでしょう。ふるさと納税をしても、金銭的な負担が大きく減るわけではないのです。
しかし、実質負担額2,000円で好きな地域の特産品を受け取れるため、総合的に判断すれば魅力的な制度ではないでしょうか。
上限額が決まっている
ふるさと納税は、納税者の所得額や家族構成、住んでいる地域に応じた上限額が設定されています。
寄附した全額が控除されるわけではありません。
上限額を超えた寄附は可能ですが、超えた金額については控除対象外になるため、注意が必要です。
ワンストップ特例制度が使えない
フリーランスはワンストップ特例制度の対象外です!
ふるさと納税した給与所得者が条件を満たした場合、確定申告せずに控除が受けられる制度。
ふるさと納税したいけれど確定申告が面倒だな……という会社員の救世主的存在がワンストップ特例制度です。
以下の2つの条件を満たした場合、確定申告なしで控除が受けられます。
- 通常は自分で確定申告を行う必要がない給与所得者
- 寄附する自治体が5つ以内
やることは、期日までに必要書類を郵送するだけ! 税務署に行く必要も、確定申告書を作成する必要もありません。
フリーランスは給与所得者ではないため、この制度の対象外です。
そうはいっても、フリーランスはふるさと納税の有無にかかわらず確定申告が必要なので、デメリットにはならないかもしれませんね。
フリーランスは上限額に要注意!
会社員と比べて収入が安定しないフリーランスは「上限額」に注意しましょう!
上限額は、ふるさと納税をする年の1月1日~12月31日の収入をベースに算出します。つまり、また確定していない収入は「仮」の金額で計算する必要があるのです。
収入の見込みが立てにくいフリーランスは、ふるさと納税の上限額をどのように設定すればよいのでしょうか。
未確定収入は低めの見積もりがベスト
確定していない収入は少なめに見積もることをオススメします。
上限額の算出において確定していない収入は「見込み」で計算するため、実際の収入が見込み額を下回った場合、寄附金が上限額を超えてしまうかもしれません。
例)2022年9月1日にふるさと納税
- 2022年1月1日〜9月1日までの収入:確定金額で上限額算出可能
- 2022年9月1日〜12月31日までの収入:見込み金額で上限額算出
→②を見誤ると上限額以上の寄附になる可能性も……。
9月を例にしていますが、納税時期が早いほど見込み収入と実際の収入に大きな開きが出る可能性があります。
上限を超えて寄附した分は控除対象外・自己負担です。収入予測が難しいフリーランスは寄附額を慎重に検討する必要があります。
確定していない収入は少し低めに見込んでおくと安心ですね。
上限額はどうやって算出すればいい?
上限額は年間の所得額、家族構成、そして住んでいる地域によって異なります。
また住宅ローン減税や医療費控除などの金額にも左右されるため、一概に「年収が◯円なら上限は△円」とはいえません。
ちなみに、上限額を求める計算式は以下のとおりです。
(住民税所得割額 × 20%)÷(90%-所得税率 × 1.021)+ 2,000円
この式に数字を当てはめると上限額がわかりますが、ちょっとややこしいですね。
以下のサイトでは、必要な数字を入れるだけで上限額の目安が簡単に計算できます。ぜひ活用してみてください。
ふるさと納税バイブル
ふるさと納税バイブルには、事業形態別の「寄付上限シミュレーション」ページがあります。
個人事業主フリーランス版・個人事業・フリーランスかんたん版・副業版からご自身に合うものを選んでくださいね。
さとふる
ふるさと納税サイトとして知名度が高い「さとふる」にもシミュレーションページが設けられています。おおよその上限額がわかる早見表も便利です。
「より正確な金額がわかる!詳細シミュレーション」から「個人事業主・副業のある方」を選択して試算してみましょう!
確定申告時の処理方法
寄附分の控除を受けるためには、確定申告時に申請しなければなりません。確定申告時には、寄附金受領証明書が必要です。
- 返礼品と一緒に送付される
- 寄附してから1~2か月後に送付される
- 1年分の寄附総額が確定した年明けに送付される
受領証明書の再発行ができない自治体もあるため、受け取ったら紛失しないよう確定申告まで大切に保管してください。
ふるさと納税をしたら、所得税の確定申告書を使って寄附額を申告しましょう。
今回はe-Taxを用いた申告方法簡単にご紹介します。
なお国税庁のホームページには寄附金控除の入力手順が画像付きで掲載されていますので、併せてご確認ください。
※PDFで開きます。
ふるさと納税の確定申告
ふるさと納税は「寄附金控除」の欄に記入をします。
寄附金受領証明書を見ながら、以下の項目を入力しましょう。
- 寄附をした年月日
- 寄附金の種類
(「都道府県・市区町村に対する寄附金(ふるさと納税など)」を選択) - 寄附先の所在地
- 寄附額
寄附をした自治体の数が多い場合は、まとめて申告できます。
ただし、まとめられるのは種類が同じ寄附金だけです。
ふるさと納税以外の寄附金とまとめて申告することはできませんので、注意しましょう。
完成した確定申告書は、税務署へ提出しましょう。
その際、寄附金受領証明書の提出は省略できますが、最低5年間は保管する必要があります。
確定申告が終わったからといって、すぐに処分しないよう気をつけてくださいね!
おすすめのふるさと納税サービス
ふるさと納税はどのサイトを利用しても同じだと思っていませんか?
実は掲載されている自治体の数が違ったり、独自のポイント還元があったりと、サイトごとに様々な特徴があるのです。
今回はその一部をご紹介します。
- 楽天ふるさと納税
:楽天経済圏をフル活用している人 - ふるなび
:Amazonと楽天サービスを使い分けている人 - ふるさとチョイス
:返礼品や自治体をじっくり選びたい人 - ANAのふるさと納税
:ANAのマイルを貯めている人
楽天ふるさと納税
日頃から楽天ポイントを貯めている人は、楽天ふるさと納税がおすすめです。
他のキャンペーンを組み合わせることで、最大30%のポイントが還元されます。
ふるなび
ふるなびは、独自サービスの展開が魅力的なサイトです。
寄附することで、楽天ポイントやAmazonギフト券に交換できる「ふるナビポイント」を受け取ることができます。
ふるさとチョイス
たくさんの自治体を見比べたい! 選択肢が多い方がいい! という人には、ふるさとチョイスがおすすめです。
初心者向けの「ふるさと納税ガイド」が充実しているので、寄附が初めてという人でも安心して利用することができます。
ANAのふるさと納税
全日空が運営しているふるさと納税サイトです。
ANAマイレージクラブの会員であれば、寄附額100円につき1マイルが貯まります。
ふるさと納税は毎年12月31日まで!
ふるさと納税は1月1日から12月31日まで好きなタイミングで寄附できますが、年末になると人気の返礼品は品切れになっていることも……。
欲しい返礼品がない!迷っているうちに期限が過ぎてしまった!ということにならないよう、早めに検討することをおすすめします。