ここ数年で、フリーランスという働き方は少しずつ身近になってきたものの、まだまだ「不安定な働き方」というネガティブイメージは拭いきれません。
実はこのイメージが原因で、フリーランスにある困難が降りかかっています。
それが賃貸契約。フリーランスが引越を考えたとき、「入居審査に通らない」という問題に直面する可能性があるのです。
今回はフリーランスの賃貸契約について解説していきます。
フリーランスは入居審査に通りにくい?
フリーランスは賃貸契約時におこなわれる入居審査に通りにくい、といわれています。
それには以下のような理由があるようです。
- 理由①収入が不安定だと思われている
- 理由②社会的信用が低い
- 理由③節税のために課税所得を下げすぎてしまう(人もいる)
- そもそも「フリーランスお断り」物件も
理由①収入が不安定だと思われているから
特定の企業に雇用されないフリーランスは、会社員と比べて「不安定」という印象を持たれています。
会社員であれば雇用されている期間の給与は保障されるものの、フリーランスはそもそも契約の継続すら保障されていません。
いまは収入が安定しているように見えても、翌月には収入が半分以下になっている可能性だってあります。
貸主からすれば、いつ収入が減るかわからない=家賃の支払いを継続できないかもしれないように見えてしまうのです。
理由②社会的信用が低いから
たとえば会社員の場合、毎月決まった額の給料を受け取ることができます。
貸主も、毎月必ず収入がある=家賃の支払い能力があると判断するので、審査は問題なく通過するでしょう。
その一方で不安定なフリーランスは、毎月決まった額の収入があるとは限りません。
そのため「家賃の支払い能力」という面で、会社員より信用度が低いと見なされてしまいます。
残念ながら、入居審査においては真面目でやる気に満ち溢れたフリーランスよりも、不真面目でモチベーションが低い会社員の方が社会的信用度が高いのです。
理由③節税のために課税所得を下げすぎてしまう
節税に躍起になっていると、入居審査に通りにくくなるかもしれません。
フリーランスの節税対策のひとつに、「確定申告時に経費を計上して課税所得を下げる」という方法があります。
もちろん節税には効果的なのですが、やりすぎにはご注意を。
いくら売上が高くても、経費の割合が大きければ手元に残るお金は少ない、と見なされます。
そうなると貸主側は「家賃の支払い能力がない」と判断するため、審査にも通りにくくなるのです。
そもそも、フリーランスお断り…という場合も?!
フリーランスの人口が増えてきたとはいえ、それはここ最近の話。
いまだに「どんな仕事なのかわからない」「雇ってもらえない人たちでしょ?」などのマイナスイメージが根強いため、そもそもフリーランスには物件を貸さないという貸主もいるようです。
フリーランスが賃貸契約を結ぶタイミングは?
少しでも審査に通りやすくするために大切なのは、契約のタイミングです。
一般的に、フリーランスとして独立した年は審査に通りにくいとされています。
フリーランスとしての収入を証明するものが何もないから!
入居審査では、基本的に前年分の収入を参考にします。
そのため引越を検討するなら、どんなに早くても2年目以降にするのがおすすめです。
契約に必要な書類
入居審査時には、自身の収入を証明する書類が必要です。
フリーランスの収入証明には、以下の書類を使うことができます。
- 住民税の課税証明書、納税証明書
- 所得税の納税証明書
- 確定申告書の控え
- (最終手段)通帳の写し
①課税証明書
所得の有無、そして所得額を証明できる書類です。
以下の情報が記載されています。
- 所得額
- 扶養家族の有無、人数
- 控除の内訳
- 課税額
発行したい年度の1月1日に住所を置いていた市区町村の役所で受け取る※ことができます。
※手数料がかかります。
②国税の納税証明書
納税額や所得額を証明できる書類です。証明する内容別に4種類の証明書があります。
- 納税額を証明するもの
- 所得額を証明するもの
- 未納の税金がないことを証明するもの
- 滞納していないことを証明するもの
オンラインまたは郵送で申請し、受け取る※ことができます。
※手数料がかかります。
4つすべて必要なわけではありません。どの書類なら受理してもらえるか、必ず貸主に確認してくださいね。
③確定申告書の控え
確定申告時に受け取る書類です。
税務署の収受日付印(受付印)が押されています。
- 窓口申告:その場で直接受け取り可能
- 郵送:申告書の「控え」と書かれた書類+返送用封筒を同封すると押印控えが戻ってくる
窓口で申告した場合には直接、郵送の場合には「控え」の書類と返送用封筒を同封することで受け取ることができます。
電子申請の場合は控えが発行されませんが、「確定申告書のデータ」と「受信通知」を揃えることで、控えの代わりになります。
最終手段:通帳の写し
もし①〜③が用意できない場合、収入の証明として通帳の写しが使える場合もあります。
ただし通帳の写しだと支出額がわかりにくく、正確な収入額を証明することができません。
そのため貸主によっては、収入の証明として使えない場合があるため、審査前に確認が必要です。
審査通過に役立つポイント
フリーランスにとって、賃貸契約時の入居審査は高いハードルです。
ですが、フリーランスであることを理由に引越を諦める必要はありません。
ここからは審査通過に役立つポイントをご紹介します。
※これらのポイントは、審査通過を保証するものではありません。
収入に対して家賃が高すぎる物件は選ばない
一般的に、家賃は収入の30%以内に収めるのが良いとされています。
フリーランスの場合は社会的信用度の低さ、審査の厳しさを踏まえて、少し低めの20〜25%を目安に検討すると安心です。
連帯保証人は会社員にお願いする
万が一借主が家賃を支払えなかった場合、代理で家賃の支払いを行う=貸主に対して家賃の支払いを保証する人。
連帯保証人は、借主に何かあったときに家賃を支払わなければなりませんから、借主同様、支払い能力の有無を審査されます。
フリーランスの信用度の低さを補うためには、会社員など社会的信用度の高い人に連帯保証人をお願いするのがおすすめです。
身近に連帯保証人になってくれる人がいない場合は、同等の役割を持つ保証会社※を利用すると良いでしょう。
※最近では、最初から保証会社の利用が義務付けられているケースも多いようです。
預金の証明をする
銀行の窓口で発行してもらえる預金残高の証明書も、審査に役立つ場合があります。
これを用意しておくメリットは、主に2つ。
- 仮に収入が減っても、預金から家賃の支払いを継続してもらえるという安心感を貸主に与えられる
- 「きちんと貯金できる計画的な人」という印象、信頼感を貸主に与えられる
この書類だけでは足りませんが、他のものと組み合わせて使えば効果的です。
社会人としてのマナーを守る
ただでさえ社会的信用が低いフリーランス。
審査時にだらしない格好だったり、適当な対応をしてしまったりすると、「トラブルを起こしそう」「この人は信用できない」と思われてしまいます。
- 身だしなみを整えること
- 丁寧で誠実な対応をすること
社会人として当然のことではありますが、これらを徹底し、信用度の低さを少しでもカバーしましょう。
フリーランス向けの賃貸サービスもおすすめ!
近年のフリーランス人口増加に伴い、フリーランス特化型の不動産サービスが増えてきました。
入居審査に不安がある人は、こういったサービスを利用するのもおすすめです。
フリーランスに理解のある貸主の物件を取り扱っているので、安心して利用することができますよ。
フリーランス不動産
フリーランス不動産の運営会社「R65不動産」は、賃貸物件の契約が難しい高齢者を対象に事業を行ってきた実績があります。
物件紹介のしかたがとにかくオシャレ! 写真もキレイで見やすいサイトです。
なお対象エリアは2022年7月現在で東京都と埼玉県の一部のみとなっています。
smeta
「smeta」は与信審査から物件探しまで可能なスマホアプリです。
アプリ経由で必要書類をアップロードすれば、物件を探す前に上限家賃の算出が可能。
時間を無駄にしたくないフリーランスの皆さまの強い味方です!
フリーランスを理由に引越を諦めないで!
フリーランスにとってはハードルが高い賃貸契約。
まだまだ、会社員を基準とした入居審査が行われているケースも少なくありません。
しかし最近では、フリーランスに理解のある貸主が増えてきたり、特化型のサービスが展開されていたりと、状況は少しずつ変わってきました。
フリーランスでも、賃貸契約はできます。
準備をしっかり整えて、入居審査を乗り切りましょう!