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フリーランスが開業届を出すと何が変わるのか解説!得と損を把握しておこう

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」であり「個人で事業を始めることになりました(事業を辞めることになりました)」という宣言です。

独立して会社を立ち上げたりお店をオープンしたり、誰かに雇われることなく自分自身で事業所得を得るのが個人事業主。自営業、という言葉の方が聞き慣れているかもしれませんね。

会社を立ち上げず、事務所もなく、リモートワークで仕事を受注するフリーランスにとって開業届は無縁の代物に見えます。しかし届け出を提出しているフリーランスもいます。

フリーランスが開業届を提出するとどういった変化があるのでしょうか。現役フリーランスの筆者の実体験を交え、届け出の必要性やメリット・デメリットをご紹介します。

個人で事業を始めるなら開業届を提出

書類
https://unsplash.com/photos/743f0Dy8bFE

フリーランスとして独立し、誰にも雇用されずに事業所得を得ていれば個人事業主です。ということは開業届を出したほうがいいのでしょうか。

自分とは無縁だと思っていた開業届、実は「義務」なんです。

開業届の提出は所得税法の義務!

まず大前提として、個人事業主が開業届を出すのは税法上の義務です。

居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から1月以内に、税務署長に提出しなければならない。

税務研究会「所得税法 第229条 開業等の届出」 https://rc.persol-group.co.jp/

「えー!開業届出していない!」と脂汗が滲んだ方、ご安心ください。今の所は罰則がありません。提出しない方もいますし、仕事が軌道に乗ってから提出する方もいます。

とはいえ「税法上の義務」ですから、開業届を出すのが当たり前だと心得ておきましょう。

副業でも個人事業主

副業収入
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会社員として働きながら、空いた時間に副業収入を得る方が増えています。会社に雇われて得る給与所得とは別に、誰にも雇われずに事業所得を得ているのであれば個人事業主です。

ですから副業を行っている場合も開業届を提出する必要があるんですね。

ただし「事業所得」ではなく「雑所得」であれば個人事業主と見なされません。

本業として給与所得があり、お小遣い程度の副業を週末に行っている、といったケースでは「雑所得」に該当することが多いでしょう。この場合は開業届が不要です。

この見極めは難しいため、判断がつかない場合は税理士に相談してみましょう。

CHECK

副業収入は事業所得?雑所得?確認を。

開業届を出すと何が変わるか

忙しい
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開業届を提出し、受理されたら何が変わるでしょうか。

実は劇的な変化はありません。開業届を出したら笑っちゃうほど仕事が降ってくる、という変化があれば嬉しいのですが……。

実際に開業届を提出した筆者が「変わった」と感じる点を挙げてみます。

気の持ちようとモチベーション

  • 胸を張って「今の仕事ですか?フリーランスです」と答えられる。
  • 名刺に屋号が記載できる。
  • 名刺に「代表」と記載できる。

自己顕示欲しかない状態ですね。このように自分の立ち位置が定まることによって、個人事業主としての責任も感じるようになります。事業を行う代表者ですから、誰も守ってくれません。

良くも悪くも「独立」を自覚し「頑張るぞ!」と鉢巻を締め直すことができます。

書類や案内の宛名が変わる

ポスト
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開業届の「屋号」欄は空欄でも問題ありません。屋号を設定した場合、税務署から届く書類や案内メールの宛名が変わります。

例えば、開業初年度に税務署から送られてきた「確定申告講習会」の案内、自分の名前の前に屋号が記載されていました。またオンラインツールの申し込みや関連するやり取りにおいても、「(屋号)◯◯様」と書かれています。

会社員時代に「(社名)◯◯様」と書かれていても何も感じませんでしたが、個人事業主として屋号が添えられていると気が引き締まります。

開業届で得すること

ジャンプする女性
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開業届は出したほうがいい!メリットしかない!そんな情報が沢山あります。確かにメリットが多いのは事実です。

しかしリモートワークでお金の動きが少ないフリーランス(筆者ですね)の場合、全てが「今すぐ」メリットになるわけではありません。恩恵に預かるのはまだ先かな……と感じるものもあります。

開業届のメリットとして最も有名なものが青色申告です。フリーランスが等しくその恩恵に預かることができるため、これを目的に開業届を提出する方も多いでしょう。

青色申告で特別控除ゲット!

非常に俗っぽい見出しではありますが、フリーランスが開業届を提出して得られる最大のメリットです。副業によってある程度の収入が見込めるのであれば、やはり青色申告で確定申告した方がいいでしょう。

というのも、青色申告を正しく行えば65万円の特別控除が適用されるからです(最高額の場合)。当然納税額が低くなります。青色申告は究極の節税法だといえますね。

ただし税制は頻繁に改正されるもので、以前の青色申告特別控除は65万円の決め打ちだったものが、現在はe-Tax利用など「◯◯した人限定」の金額になりました。条件に当てはまらなくても55万円の特別控除は受けられます。

今後事業規模がどうなるか分からなくても、青色申告のために開業届を出すのは正しい選択肢といえそうです。

ただし注意点が1つあります。実は開業届だけで青色申告はできません。開業届提出に併せて「青色申告承認申請書」も提出しましょう。

青色申告は特別控除以外にも、赤字の繰越や減価償却の特例といった事業規模が大きくなったときに感じるメリットもあります。

CHECK

開業届と「青色申告申請書」も忘れずに提出を。

社会的信用を少しだけアップ

信頼
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開業届は「フリーランスとして事業を行っている」という証明になり、社会的信用度を高めます。

「私はフリーランスです」と名乗った人が本当に事業所得を得ているかどうか知るすべはなく、フリーランスは信頼されにくいワークスタイルです。では信頼されないとどういったことが起こり得るでしょうか。

例えば銀行口座名義に「屋号」を使いたい場合、本当にその屋号を事業で使っているのか疑われます。このとき開業届の写しを提出すれば、その屋号で事業を行っている証明になり、口座開設が可能です(銀行により他の要件を満たす必要もありますが)。

また個人事業主の共済制度を利用する場合も開業届の写しが求められます。事業者として何らかのサービスを受ける、あるいは手続きを行うときに開業届の写しを持っているとスムーズですね。

筆者はクラウド契約サービスの申し込みを行った際、Gmailで申し込んだこと、事業を証明するホームページがないことから信用ゼロと見なされ、証明書類の提出を求められました。

  • 謄本の写し
  • 開業届の写し
  • 確定申告書の控え

このあたりが証明になるようです。フリーランスになった当初は確定申告を行っていませんし、リモートワークをしていると役所へ謄本を取りに行くのも面倒。開業届の写しは手元に置いておくべきだなと感じました。

お恥ずかしいことに開業届の写しが見つからず確定申告書を提出しましたが、万が一紛失しても大丈夫。開業届の写しは再発行が可能です。

CHECK

開業届の再発行は税務署でできます。

働いている証明になる

お子さんを保育園に預けたいフリーランサーが直面する「就労証明」の問題。通常は職場の方に必要事項を記入してもらいますが、フリーランスは自分で記入します。保育園側が「本当に働いているの?」と疑うのも無理はありません。

そのため開業届の写しの提出を求める保育園もあります。

開業届で損すること

メランコリックな男性
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メリットが多い開業届の提出に大きなデメリットはありません。デメリットになりうる点はいくつかありますが、開業した方全てが損をするものでもないのです。

場合によっては損するかもしれない、と捉えてください。

青色申告には時間 or お金が必要かもしれない

白色申告はお小遣い帳のグレードアップバージョンとも呼べる簡単な帳簿付けで確定申告ができますが、青色申告は複式簿記でなかなか複雑です。そのため毎年2月に地獄を見るフリーランサーが多いでしょう。

確定申告用のソフトを使えば簡単!とは言い切れず、確定申告書の作成に至るまでの道のりは長いものです。また青色申告用のソフトは有償のものが多いため、お金もかかります。

時間を節約するなら税理士さんに依頼するのがベストですが、その依頼料を節約したい……

エクセルによる帳簿作成も可能です。ですが青色申告は必要書類や保存要件などが年々複雑化しているため、制度の更新に対応できないエクセル帳簿だと思わぬミスが生じて青色申告ができなかったり、本来の納税額との差異があれば追徴課税のリスクもあります。

失業給付が受給できないかもしれない

仕事探し
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失業給付は「再就職を目指す人」に対して支払われる給付金です。再就職したい人が開業届を提出するはずがありませんので、失業手当の受給は難しいでしょう。

特に開業届を提出して副業している方は要注意!再就職の意思があっても「開業届提出」という事実によって、失業給付が受けられないケースもあります。

これまで副業をする方は絶対数が少なかったため、税務署と職業安定所のデータがうまくリンクされずに失業手当を受け取っている方もいました。しかし副業人材の増加が見込まる今後、同じようにいくとは限りません。

健康保険の扶養から外れるかもしれない

健康保険の被扶養者の条件は健康保険組合によって異なります。一般的には所得で切り分けられますが、所得が上限に達していなくても「開業している」というだけで扶養から外れることがあるのです。

ただし健康保険組合ごとに基準が定められているため一概にはいえません。筆者は開業届の提出前に問い合わせをし「開業の有無によらず所得だけで判断する」という回答を得ました。

CHECK

扶養に入っている方、あるいは今後扶養に入ることを検討している方は、健康保険組合への確認をお忘れなく。

フリーランスを継続するなら開業届を提出!

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屋号は必要ないし、青色申告するほどの収入も見込んでいない、開業届を出さなくても困ることはない。

それでも開業届の提出は義務ですし、仕事が軌道に乗ったときに「提出しておいてよかったな」と感じるでしょう。

法人として会社を立ち上げるのと比べ、開業届の記載事項はシンプルで簡単に提出できます。裏を返せば「誰でも提出」できてしまうわけです。そのため、社会的信用が上がるといえど過信は禁物

フリーランスとして信用を積み上げていくには、日頃の業務に対する真摯な姿勢と実績、そして正確な納税が欠かせません。そこに「所得税法上の義務を果たしている人」というタグを1つ追加できるのが開業届なのです。

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About the Author

中山沙織
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一帖半執筆工房代表。

フリーランスに転身後、ライターからエディター・マネージャー・GMに至るまで全てリモートワーク。

現在はデジタルマーケティング企業の人材育成コンサルタント。

趣味は写真撮影とRAW現像とデジタルガジェットを見てニヤニヤすること。