リモートワークがメインのフリーランスは、クライアントとのコミュニケーション手段としてチャットやメールを使うことが多いのではないでしょうか。
皆さんと同じくフリーランスの筆者も、ビジネスチャットでのやり取りが大半です。「大半」ですが……。
なかには電話という連絡手段を取るクライアントもいます。
実は筆者、電話連絡が大の苦手! なんです。筆者の周りでも電話連絡はあまり好きではないという声をよく耳にします。
話を聞いてみると、電話連絡にまつわる「イヤな経験」をキッカケにして電話が苦手になるケースが多いようです。
今回はフリーランスが電話連絡を嫌う理由や、クライアントからの電話に立ち向かう選択肢を、現役フリーランスの声を交えながら考えていきます。
筆者と同じく電話嫌いなフリーランス、そしてクライアントからの電話連絡に日々怯えているフリーランスは必読です!
フリーランスが電話連絡を嫌う理由|ここが迷惑!
フリーランスが電話連絡を嫌う理由を3つ挙げてみました。
- 常に相手の都合でかかってくるから
- 熟考する時間をもらえないから
- トラブルにつながりやすいから
「何となく嫌いなんです」ではありません。迷惑に感じた経験があるからです。筆者の経験も交えながら、それぞれの理由を深掘りしていきましょう。
常に相手の都合でかかってくるから
クライアントは「自分は今電話の時間が取れる」と思った時に電話をかけてきます。かける側の都合だけ加味し、私たちの都合は加味していないから迷惑なのです。
なかには「○時ごろ電話します」と約束している場合もあるかもしれませんが、筆者の経験を思い返すと、クライアントからの電話のほとんどは突然かかってきました。
テキストメッセージなら自分の都合に合わせて確認できますが、電話はかける側の都合に合わせて「今すぐ」を強いられます。
ではなぜ相手都合の電話が迷惑なのでしょうか。具体例を2つ紹介します。
予定が崩れる
予定していない突然の電話は、私たちフリーランスの仕事やプライベートの予定を崩します。
定時という拘束時間が決まっている会社員の場合、その時間内は確実に仕事しているので、仕事関係の電話連絡なら問題ないでしょう。
しかし定時がないフリーランスは、9〜17時に仕事しているとは限りません。
買い物中かもしれませんし、ほかの予定があって離席中かもしれません。寝ている可能性だってあります。急ぎの仕事をこなしていて、電話する余裕なんてないかもしれません。
筆者は外出中にクライアントからの電話を受けたことがあります。プライベートの時間にもかかわらず突然「仕事」に時間と意識を奪われたことにモヤっとしました。
「電話が嫌い」なフリーランスは、全ての電話を嫌っているわけではありません。こちらの都合に関係なく突然かかってくるから迷惑だと感じるのです。
どのくらい拘束されるかわからない
電話に出て、相手の話をある程度聞かなければ用件がわかりません。そのため「用件次第で対応するか否か決める」ことができないのがデメリットです。
たとえばチャットやメールの場合、内容を確認したうえで「いますぐ対応すべきか、手が空いてから対応するか」判断できます。
しかし電話の場合、用件がわからない状態で「電話に出るか出ないか」を判断しなければなりません。
もし電話を取ったとしても、自分にとって重要ではない用件だったら、電話に要した時間は「無駄だった」だと感じます。
また電話にかかる時間も予測できません。話を始める前に「〇分ほどお時間よろしいですか?」と確認を挟んでくれる人もいますが、実はここにも落とし穴があるのです。
- 相手は5分で済むと思っていた話題が、自分は20分くらいかけてじっくり話し合いたい話題だった
- 相手は10分で用件を伝えるつもりだったが内容が曖昧で、質疑応答しているうちに30分経過していた
想定よりも電話が長引くことは珍しくありません。時間に余裕がある時なら対応できますが、もし次に予定があったら? 急ぎの案件を進めている途中だったら?
他のクライアント案件にも影響が出てしまいます。
筆者の実例
筆者は会社員時代、先輩社員からの電話連絡に悩まされた経験があります。
当時は入社して年数が浅く、先輩からの電話を潔く拒否することはできませんでした。
シフト制勤務だったので、筆者の就業時間外や休日に電話がかかってきたこともあります。突然の電話で1時間近く時間を取られたことも。
相手は仕事中でも、筆者はプライベートの時間を削らなければならないことに大きなストレスを感じました。
クライアントとフリーランスには上下関係がないはずですが、仕事を「もらっている」側の私たちはクライアントからの電話連絡に「NO」を出しにくい立場です。
「対応を強いられている」という感覚が電話嫌いにつながります。
熟考する時間をもらえないから
本当はじっくり考えたいのに、返答を急かされて咄嗟に「はい」と言ってしまった経験はありませんか?
人はその場で返答を求められると、意に反することを言ってしまいがちです。
筆者の場合、クライアントから電話で仕事を依頼された時に、本当は条件・報酬・所要時間など検討してから回答したかったのに、その場でOKを出したことがあります。
ほかにもこんな事例を見聞きします。
- 「今日中にお願いできませんか?」
→他のタスクも抱えていて忙しいけれど「わかりました、やります」 - 「〇〇をやってください」
→じっくり検討してから返答したいけれど「はい、お請けします」
チャットで依頼してもらえれば、依頼内容を何度か読み返しながらじっくり考えて返答できます。
しかし電話は「今すぐ」と急かされていないのに、なぜか焦って回答してしまうのです。主に2つの理由があると考えています。
- 相手の心へダイレクトに訴えかけるから
→どうしても人が足りないんです! ○○さんがいないと終わらないんです! 泣きそうです! - 電話では「沈黙=時間の無駄」だと感じるから
→「やってもらえますか?」「……」「……どうですか」「……やります」
クライアントへの同情や沈黙に対する焦りから冷静な判断ができなくなり、表面的な情報だけで回答してしまうのでしょう。
こうしたケースでも冷静に判断できる人や「考える時間がほしい」と伝えられる人もいます。
しかしこれができない人・できない立場にいる人にとって、やはり電話は「迷惑な連絡手段」なのです。
トラブルにつながりやすい
電話の内容は録音でもしない限り残りません。「記録がないこと・証拠がないこと」はトラブルの原因になります。
もちろん自分自身の備忘録として、あるいは相手に共有する議事録としてメモを取る人もいるでしょう。
しかし「書いてあるから事実だ」と言い切れず、裏付ける証拠は残っていません。話した内容は自分とクライアントしか知らないため「言った・言わない」のトラブルにつながります。
同僚や上司のような頼れる存在がいないフリーランスは、こうしたトラブルに巻き込まれると非常に厄介です。
電話が嫌いな現役フリーランスの対応実例4選!
クライアントから電話がかかってきた! さて、あなたはどのように対応していますか?
REMO-zineの座談会(2023年2月開催)に参加したフリーランスに質問したところ、大きく4つの対応が挙がりました。
- 無視する
- 電話番号を見て対応を決める
- 電話は無視・その後の連絡を待つ
- アポあり電話だけ対応する
電話連絡に悩むフリーランスのために「選択肢」を4つご提案します!
無視する
クライアントからの電話には絶対に出たくない! そんなフリーランスにおすすめなのは「電話に出ないこと」です。
究極の手段であり、人によっては罪悪感にさいなまれるかもしれませんが、「電話に必ず応答すること」は契約書上の業務ではないはずです。
クライアントとのやり取りはチャットやメールのみ、電話では一切やり取りをしない、と心に決めておきましょう。
時間をロスする心配がなく、自分が抱えている案件だけに集中できるのがメリットです。
ただし、デメリットもあります。
筆者がかつて契約していたクライアントは、新規案件の依頼に電話を使っていました。電話を無視すると、こうした仕事のチャンスを逃す可能性があります。
電話番号を見て対応を決める
特定のクライアントからの電話連絡には可能な限り対応したい、というフリーランスにおすすめの方法です。
クライアントの電話番号を端末に登録しておき、番号(登録名)を見て対応可否を決めましょう。
そのクライアント以外の着信には対応しないと決めておけば、仕事とは関係ない営業電話などに時間を取られる心配がなくなります。
電話は無視・その後の連絡を待つ
電話はいったん無視し、留守番電話・メッセージなど何かしらの連絡があったら対応する方法です。筆者はこの方法を採用しています。
後追い連絡がない電話には一切折り返しません。後追い連絡があっても用件を明かさないものはチャットで返答します。
- チャットでの後追い連絡に用件が書かれていた
例:先ほどのお電話は〇〇の件でした。お時間があるときに折り返しをお願いします。 - 留守電が入っていて用件がわかった
例:〇〇の件でお電話しました。ご連絡をお待ちしています。
日頃からチャットやメールで連絡を取っているクライアントの場合、急ぎの用件なら電話以外の手段でもフォローするはずです。
それがない場合は重要度・緊急性が低いと判断します。
アポあり電話だけ対応する
「今日の○時ごろお電話します」などあらかじめ予定している電話には対応し、それ以外はスルーする方法です。
突然の電話は迷惑だけれど、事前に予定がわかっていれば対応できる! というフリーランスにピッタリですね。
ミーティングの予定を立てるのと同じように電話の予定が事前にわかっていれば仕事の調整がしやすく、落ち着いて電話に対応できるのがメリットです。
電話連絡のほうが効果的なときもある!?
時間的な拘束を受ける電話は、フリーランスにとってデメリットが多いツールです。
しかし時に、チャットよりも電話を使うほうがいいケースがあります。
- チャットのやり取りですれ違っているとき
- 記録に残したくない連絡をするとき
こうした場合では、電話でコミュニケーションを取ったほうがその後の業務を円滑に進められるでしょう。
チャットのやり取りですれ違っているとき
チャットなどテキストでのやり取りがスムーズに進まないと、業務の進捗にも影響が出ます。
こんな時は電話で直接話しながら進めたほうが早いかもしれません。
- 自分の意図が相手に伝わらない
- 相手の指示が不明瞭で意図が掴めない
- 質問や確認事項が多く、チャットでは時間がかかりすぎる
なお、電話でのやり取りを希望する場合は必ずアポを取りましょう。
記録に残したくない連絡をするとき
「証拠を残したくない」連絡は電話のほうがいいですね。たとえば以下のようなケースです。
- ほかの人に知られてはならない連絡
- 未確定だが先に共有しておきたい内容
- 個人情報を含む内容
証拠が残せない電話のデメリットを逆手にとって有効活用しましょう。
筆者はマネージャーをしていた頃、未確定の人事や報酬に関する連絡に電話を使うことがありました。
記録を残したくない連絡にはあえて電話を使うことで、特定の相手に情報が共有できるだけでなく情報の拡散も防げます。
電話対応のマイルールを決めておこう!
電話でのコミュニケーションにはデメリットが多いものの、電話に助けられることもあります。
とはいえ、助けてくれる電話かどうかは電話に出ないとわかりません。クジ引きのようなスリルはできる限り避けたいものですね。
電話とうまく付き合うためにも、自分なりのルールを定めておくとよいでしょう。
筆者は以下のようなルールを決めています。
- 急にかかってきた電話には出ない
- 用件はチャットで確認し、電話不要と判断したらチャットで済ませる
自分が快適に過ごせるルールを決めておけば、電話によるストレスも軽減できるでしょう。
電話と適度な距離を保ちながら上手に付き合っていけるよう、皆さんもぜひ「マイルール」を考えてみてください!