INTERVIEW
03
WORKER:neco
STYLE:フリーランス
JOB:美容師/WEBライター
今回はフリーランスのリモートワーカー・necoさんにインタビュー!
美容師であり、Webメディア制作に携わるフリーランサー、そして一児の母でもあるnecoさんはとにかく前向きで明るく、取材中は笑いが絶えませんでした。
1日24時間という限られた時間に対し、necoさんの体感は25時間? ひょっとすると26時間かもしれない!
そう感じるほど「時間」の使い方に長けている印象を受けました。
リモートワーク+対面業務のWワークの実例を、覗いてみましょう。
美容師として働きながら、副業としてWebライティングを開始。エディターからメディア事業のマネージャーへ。2021年4月に女児を出産し、現在は仕事セーブ中。
隙間時間にリモートワークがジャストフィット
美容師としてお客さまと接する日々を送っていたnecoさん。
副業やフリーランスという言葉がそこまで浸透していなかった時期に、なぜリモートワークを始めようと思ったのでしょうか。
necoさんがリモートワークを始めたきっかけを教えてください。
20歳からずっと美容師をやっているんですが、今の会社に入って働き方の自由度が上がったのを機にリモートライター業を始めました。
「自由な働き方」というのは具体的にどのようなことでしょうか。
私の場合は、フリーランスの美容師に近い働き方をしています。
一日中ずっとお店にいるのではなく、お客さまの来店に合わせてお店に行くような形です。
でも身分は会社員なので、リモートワークは副業ですね。
副業OKの会社なのでしょうか。
はい。あまり一般的ではなかった副業が、その当時から認められていました。
副業に限らず、制度面が充実している会社だと思います。
社会保険に入らない会社も多いなか、社保完備を全面に打ち出していましたし、働き方の自由度が高い。育休も結構手厚いんですよ。
コロナ禍の影響で働き方についての縛りが少し厳しくなったかな? と感じる面もあるので、私自身はすごく良いタイミングで副業を始められたと思います。
副業としてWebライターを選んだ理由を教えてください。
単純に、書くことが好きだからというのはありますね。
それと、ライター業が空き時間を埋めるのにちょうどいい仕事だったのも理由のひとつです。
フリーランス美容師のような働き方になった当初、ちょうど新規店舗のオープニングスタッフをやっていて、お客さまがそこまで多くなかったんです。
指名のお客さまに対応してから次のお客さまを待つ間に空き時間ができるので、一度帰宅することもありました。
とはいえ、呼ばれたらお店に戻らないといけないので、ゆっくりもできず。
この空き時間がもったいないな……と思ったんです。
でも空き時間は日によって違うので、毎日何時から何時までという固定の副業はできません。
その点、Webライティングは時間の縛りがなくて、隙間時間を埋めるのにちょうどいい仕事でした。
未経験でライティングを開始するにあたり不安だったことはありますか?
新しい世界に飛び込むのは、やっぱり不安ですよね。
まずはクラウドソーシングサイトに登録して手当たり次第テストライティングを受けることにしたんですが、「テスト」っていう言葉自体がものすごく不安でした。
経験のないライティングの世界でテストを受けて、自分はこの世界に認めてもらえるんだろうか、みたいな。
幸い多くの案件で契約には至ったんですが、とにかく文字単価が安くて、今度は労働に見合った収入が得られるのかっていう不安も生まれました。
不安なのに、周りにはクラウドソーシングを使っている人がいなかったので、不安を打ち明けることもできません。
分からないことや不安なことはとにかくググって解決です。「クラウドソーシング 困る」「1文字 0.1円」とか!
業務が変わってもスタンスは変えず
ライターから編集・ディレクター、そしてマネージャーへとステップアップ。
業務量も業務内容も変化するなかで、どのように時間管理を行っていたのでしょうか。
リモートの業務量が増えたとき、美容師の仕事との両立はどのようにしていましたか?
実は、仕事内容が変わって仕事量も増えても、突然手一杯になることはありませんでした。
というのも、リモートワークの仕事が増えたのは、ちょうどコロナ禍に入るタイミングだったんです。
コロナでお店がお休みになって収入ピンチ! という状況ではありましたが、時間には余裕ができたので仕事が増えても問題なく吸収できました。
でもコロナ禍が落ち着き始めて、美容師の仕事が元通りになってからがハードでしたね。キツかったです。
美容師の仕事が通常進行になってから、時間のやりくりで工夫したことがあれば教えてください。
大きくやり方を変えることはありませんでした。以前と同じように、基本的には隙間時間の活用です。
空いた時間でチャットの返信をしたり、一度家に帰って仕事したり、車の中でミーティングすることもありました。
それプラス、お店が休みの日(平日)をリモートワークにあてることもありました。
休日返上ですね……。ご自身の中でリモートワークの定休日や稼働時間はある程度決めていたのでしょうか。
稼働時間は定めないで、隙間時間を埋めていくことが多かったです。
土日は本業が忙しかったので、リモートワークは一切やらないと決めていました。一応、決めていました。
と言いつつ、仕事の状況によっては土日でも進めちゃうんですが……。
いつでもどこでも集中!が難しい……
necoさんは仕事用の個室ではなく、家族との共有スペースで仕事をしていらっしゃいます。
個室ユーザーには分からない苦労話を、根掘り葉掘り伺いました!
具体的にはどのような環境で仕事をなさっているのでしょうか。
仕事用の椅子もなくて、コタツでリモートワークをするコタツライターなんですよ。
リモートワークを始めたばかりの頃はパソコンもなくて、実家のパソコンを借りていたぐらいです。
ミーティングの頻度が高くなって自宅にパソコンがないと不便だったので、カメラ付きのパソコンを買いました。
何か苦労したことがあれば教えてください。
家族の時間の取扱い、でしょうか。
リモートワークを始めた当初は独身だったので、たとえば19時ごろに帰宅して「ちょっと執筆進めよう」ってこともできたわけです。
誰にも何も言われません。でも途中で結婚して、生活が変わりました。
夫は19時には帰宅するので、19時以降はいうならば「家族の時間」ですよね。でも納期がチラつくので執筆を進めたい。
執筆するときはスマホのメモで下書きをして、入稿だけパソコンでやることが多かったんです。
なので執筆を進めるとなるとスマホ作業が多くを占めます。
スマホとはいえ、仕事しているんですよ! でも傍目から見ると「スマホいじってる人」に見えてしまいます。
新婚なのに妻が隣でずっとスマホいじってたら感じ悪いじゃないですか! 感じ悪いなって思われていたんですよ。
思われていたかもしれない、ではなく「思われていた」ですか。
思われていましたね。「ずっとスマホいじってるねー」って言われました。そうすると、やっぱり仕事しにくくなるわけですよ。
感じ悪いって思っているんだろうな、と気になると集中できなくなって、執筆が進まず、納期に追われがちになったっていうのは事実としてあります。
そうすると平日の、自分だけの休みを仕事にあてることになりますよね。
家族がいる状況でいかに集中して仕事を進めるか。これがリモートワークの悩みです。
個室が欲しいなと思ったことはありますか?
未だに欲しいです。でも、実は美容室が欲しくて。小さい美容室。
お客さまがいないときはそこでリモートワークできるじゃないですか。
もちろん、普通の個室でもいいんですけど!
リモートでも「人」が見えるコミュニケーション
ライターから出発し、ディレクターを束ねるマネージャーとなったnecoさん。
クライアント企業の窓口的存在として、オンラインミーティングの回数が増えたそうです。
リモートワークの大きな壁「コミュニケーション」について伺いました。
お客さまと対面で接するのと比較して、非対面コミュニケーションにやりにくさは感じますか?
当然のことながら対面していると表情が見えるので、相手が考えていることは何か、言っていることが本音か本音じゃないかというのは分かりやすいと思います。
やはり仕事柄、表情を読むことは得意分野ですから、対面のほうがうまくいくというのはあります。
でもやりにくさはあるとしても、チャットに切り替わった途端コミュニケーションがうまくいかなくなるってことはないと思います。
チャットでのコミュニケーションで心がけていることがあれば教えてください。
文面を見て、何となくの人物像をイメージするようにしています。あとは相手のテンションに合わせてやり取りをしています。
対面ではなくチャットだとしても、絡みやすさ・絡みにくさってありますよね。
何でも短文で返してくる人には短文で返すように意識しています。絡みたくないんだろうなと思うので、極力絡まない。
質問が多い人に対しては、質問されないように丁寧に文面を作って、一つの投稿にまとめてチャットを送るんです。
そうすると相手はその投稿を見て質問するので、自ずと質問も一つの投稿で送られてきます。
細切れの質問はお互いにロスが生じるので、やり取り回数は最小限に、説明はとにかく丁寧にすることを心がけています。
リモートワークを始めて「こんなはずじゃなかった」と思ったことがあれば教えてください。
ミーティングが多かったことですね! 一時期、オンラインミーティングの頻度が高くなりました。
マネージャーとしてディレクターさんとビデオ通話して業務依頼をしたり、クライアントのオフィスで働きませんか? と誘ったりしていました。
非対面がメリットであるはずのリモートワークなのに、気付けば本業に近い形になっちゃって。
ミーティング自体はニガテではないんですが、ちょっと抵抗が生まれましたね。
ミーティングは予め時間を決めて空けておく必要があるので、時間的な制約ができるっていうのもデメリットでした。
クライアントは私に「会社の入り口・窓口」の役割を期待していたので、そうすると身なりを整えて参加するべきですし、ミーティングの背景も気にしていました。
車でやるなら周囲に景色が入り込まないように駐車場でやったり、家の中だと背景が白になる場所を選んだり。
定例ミーティングの相手には「はい、うしろキッチンでーす」みたいに開き直れるんですが、はじめましての人に対しては結構気にしていましたね。
ただ、マイナスなことばかりではなくて、やっぱり顔が分かっていると業務を頼みやすくなります。
チャットで感じ取っていた雰囲気との答え合わせができると、すごく頼みやすいです。
見た目と声と文章、一番「人」が出るのはどれだと思いますか?
見た目よりも声ですね。会話したときの印象が一番正直かもしれません。
声の印象なんていくらでも作れるんですよ。作れるけれど、長く話していると本当に姿が見えてくる。
1回目の電話では取り繕えても、2回目、3回目になれば「あぁ、またnecoさんか……はいはい」みたいな感じの人も中にはいます。
逆に「2回目? どうぞどうぞ! よろこんで!」っていう人もいる。
上司は打てば響く人、叩けば動く人と仕事したいですし、「この人無茶苦茶言うなぁ」と思いつつも「まずやってみよう」っていう人に目が行きます。
当然評価も高いと思います。判断材料が少ないリモートワークではとても重要なことですよね。
でも媚びを売るような人は、非対面でもおそらく見抜かれます。
リモートワークのお供は「水」
リモートワークに欠かせないもの、といえば椅子やガジェット類が真っ先に思い浮かびますが……。
個室を持たないnecoさんがリモートワークのお供にしているものは「水」!
リモートワークに欠かせないものを教えてください。
飲み物、特に水です!
水以外だとコーヒーを飲むこともありますが、仕事中は水です。今も目の前に2Lのペットボトルが置いてあります。
飲み物を飲むときは、出産祝いで上司からもらったタンブラーを使っています。
水道水も美味しい地域かなと思うのですが……。
もともとは水道水を飲んでいたんです!
でも妊娠してから、微妙な味の差が気になって、ボトルに変えました。
6本入りで300円台、安いんです。最近2箱買ってきましたよ!
(編集部注:山に囲まれた素敵な地域にお住まいです)
自分のニーズを満たす働き方
美容師としても、メディア制作に関わるワーカーとしても大活躍を続けてきたnecoさんは、2021年4月に第一子を出産しました。
現在はお仕事休止中とのこと。今後の予定について伺いました。
お仕事再開のご予定など今後について教えてください。
しばらく全面復帰の予定はありません。
実は子どもが医療的ケア児※なんです。未熟児特有の疾患で治療中なので、しばらくは付きっきりになります。
ケアが必要となると保育園に預けるのが難しいんですよね。
同じように医療的ケア児を育てているお母さんのなかには、働きたくても働けない状況の方も沢山います。
子どもが寝たきり状態というと皆さん「大変だね」と心配してくださるんですが、0歳・1歳は基本的に寝たきりですよね!
今は機器の力を借りて生活していますが、すくすくと成長していて元気ですし、成長とともに離脱できる見込みです。
そうなったら働けると思います。
※医療的ケア児:NICU等に長期入院した後、引き続き医療的ケアが日常的に必要。
仕事再開となったとき、どういう形態で働きたいですか?
やっぱりリモートワークがやりたいですね。子どもの様子を見ながら仕事できるのは、私にとって大きなメリットです。
美容師の仕事もある程度経験を積んでいるので現場復帰しやすいですし、職場からは「スポットでもいいですよ」と言われています。
バイトでもスポットでも、続けていれば腕は落ちないですし、お客さまも状況を分かってくれているので不安はあまりありません。
そうなると、美容師もメディアの仕事もフリーランスですね。
ご家族はnecoさんの復帰についてどのようにおっしゃっているのでしょうか。
子どもが生まれる前は、産後も働いてほしいと思っていたでしょうね。
でも子どもが生まれて状況が変わったので、子どものそばにいてほしいし、自分が家族のために働く! と言ってくれています。
二馬力でガンガン働いたとして、贅沢するわけでも生活レベルを上げたいわけでもない。
だったら子ども最優先で、フルタイム・正社員・高収入にこだわらず、今の生活がキープできればいいんじゃないかなと思っています。
そうなったとき、リモートワークは私のニーズに合っているんですよね。
貴重なお話、ありがとうございました!
編集後記
リモートワークは時間や場所の自由度が高いため、子育てとの両立がしやすいといわれています。
しかしこれは誰にでも当てはまることではありません。
お子さんの状況や年齢はもちろん、性格・気性によってもリモートワークが難しいケースは多々あります。
「子どもが体調不良? じゃあリモートでやって」という安直な指示がなされない世の中になってほしいものです。
とはいえ、子育てとリモートワークの相性が抜群になるタイミング・状況というのは確実にあります。
隙間時間を埋めるため、子どもが就学するまでの数年間、夜間帯を活用するため。
働きたい人が無理なく働くための選択肢として、リモートワークがさらに浸透していくことを願っています。
REMO-zineではインタビューを受けていただけるリモートワーカーさんを募集中です。
所要時間は30〜60分ほど。職種は問いません!↑↑のボタンから詳細お問い合わせください。