Web上にはさまざまなコンテンツが溢れています。これらのコンテンツを「文章」で支えているのが、Webライターです。
なんとなく「文章を書くだけ」というイメージが先行していますが、それはWebライターの仕事に対する大きな誤解です!
今回は現役Webライターが仕事の内容や魅力、そして気になる報酬のことを本音で語ります。
執筆だけじゃない!Webライターの仕事内容
WebライターはWeb上にあるさまざまなコンテンツのうち「テキスト・言葉」に関連するコンテンツを制作します。
「書くだけなら誰でもできる」と思われがちですが、実は執筆「以外」の作業にも時間・労力が必要です。
まずはその一端をご紹介しましょう!
Web記事制作の作業と流れ
Web記事制作はWebライターのメインの作業。未経験Webライターの多くはこの仕事からスタートします。
では実際にどういった作業が行われているのか、ごく一般的なWeb記事制作の大まかな流れをまとめてみました。
- 構成作成:タイトルや見出しを作る
- 情報収集・執筆
- 画像選定
- CMS入稿:Web公開用に見た目を整える
- 納品・修正・公開
実は「書く」作業は全工程の一部分。それ以外の作業がたくさんあるのです。そのため、記事執筆ではなく「記事制作」と表現するクライアントもチラホラいます。
Webライターの活躍の場は意外と幅広い
Webライターの活躍シーンはWeb記事制作だけではありません。いくつか例を挙げてみましょう。
- シナリオ制作(解説動画・ノベルゲーム・ドラマCDなど)
- 求人広告制作
- SNS投稿 などなど
ドラマCDやノベルゲームのシナリオ案件は減りつつあり、動画シナリオやSNS関連がグンと増えてきた印象です。
また求人文面の作成やSNS投稿代行※もWebライターの仕事に数えられます。140文字のTwitterからnote・cakesなど長文投稿まで、活躍の場は意外とたくさんあるのです。
※「SNS運用」の仕事内容とは異なります。
Webライターの案件の取り方・報酬形態
Webライティングの報酬は案件によって開きがあります。なかには「適正」には程遠い金額が提示されていることも……。
たくさんの案件を見比べて報酬形態や相場を理解することが、収入安定への近道です。
- 案件の探し方・取り方る
- 報酬の仕組みと相場
- 収入を増やす方法
良い案件に巡り会うために、ぜひ知っておいてください!
Webライター案件の取り方
Webライティング案件を探す場合、以下のサイト・ルートを使うのが一般的です。
- クラウドソーシングサイト経由
- Webメディアから直接応募
- フリーランスエージェント経由(ライター案件は少ない)
- 知人・友人経由 など
案件量が豊富なのはクラウドソーシングサイト! 会員登録すれば案件が閲覧できるので、応募する・しないにかかわらず相場調査にも役立ちます。
案件の豊富さではクラウドワークスが頭ひとつ抜けている印象ですが、未経験者でも案件が取りやすいといわれているのはビズシークです。
また興味があるWebサイトの「ライター募集」ページから直接応募する手もあります。ただし単価や条件が書かれていないことが多いので、少々勇気が必要ですね……。
趣味でよく見ているサイトにも募集バナーがあるかもしれません。
さて、希望の案件が見つかったら応募して案件獲得、ではありません!
多くのライターが狙っている「継続案件」の場合、テストライティングを挟むケースがほとんどです。
テスト不合格なら継続なし! 合格すると本契約を経て継続的に依頼が入るため、収入安定に一歩近付きます。
なお、あまり一般的ではありませんが勉強会・セミナーへの参加(対面)が案件獲得につながることも。
特に執筆関連のセミナーにはディレクターやクライアントも参加するので、大きなチャンスが転がっているかもしれません。
Webライターの報酬形態と相場
Webライティングの報酬は一部を除き「文字単価×文字数」で決まります。
文字単価は文字どおり「1文字あたりの報酬額」のこと。ジャンルの執筆難易度や文章の質・予算などを加味してクライアントが設定します。
以下はクラウドソーシングサイトの文字単価相場(参考値)です。
- 未経験者歓迎案件
- 0.5〜1.0円/文字
- 経験者案件
- 1.0〜2.0円/文字
- プロ求む案件・専門性が高い案件
- 2.0円/文字〜
文字単価1円なら、1時間で3,000文字記事を仕上げれば時給3,000円相当になりますね(夢のような話です)。
さて、文字単価×文字数で決まる報酬は2パターンあり、さらに文字単価以外の報酬形態もあります。いくつか挙げてみましょう。
- 依頼文字数×文字単価
- 一般的
- 記事単価
- 1記事の報酬が固定※文字単価無関係
- 執筆文字数×文字単価
- 激レア!
- 時間単価
- 準委任契約※文字単価無関係
1つ目はごく一般的な「依頼文字数」をベースにした報酬です。また3つ目の記事単価もよく見かけます。
3つ目は納品物の実文字数で報酬が決まる(書けば書くほど報酬が増える)かなりレアな報酬形態です。最近はあまり見かけません。
4つ目の時間単価は準委任契約で見られる報酬形態で、SEOライターの相場が1,500〜2,000円/時程度。当然ながら「質と量(スピード)」が求められます。
Webライティングの収入を増やす方法
執筆本数を増やす。文字数が多い案件を狙う。複数案件を並行する。
これが確実な方法だと考えています。
腕を磨いて文字単価を上げたり、高単価案件を狙うのは正攻法ではありますが、確実性が高くありません。理由は以下のとおりです。
- 単価アップしないクライアントがいる
- 条件付き単価アップの可能性あり
- 単価アップには継続執筆が必要
- 高単価案件で依頼数が少ないことも
残念ながら単価アップするつもりがないクライアントもいます。また単価を上げる代わりに付帯作業を依頼されるケースもあります。
さらに、半年〜1年ほど様子見したうえで単価アップを検討する、という社内ルールを設けているクライアントもいます。
こうした理由から、腕に自信があっても短期間で単価アップが叶うとは限りません。確実なのは「とにかく書く」こと。成果報酬ですから書けば書くほど収入は増え、スキルは伸びていきます。
求められるスキル・能力
Webライターの文章力は一定レベルに達していれば問題ありません。Webライターとして活躍するためには、文章力+それ以外の能力が必要です。
Webライターに必要なスキル・能力(文章力以外)をいくつか挙げてみました!
情報検索・理解力
まずは情報検索能力・正誤判断能力・理解力が必要です。
Webライターは自由気ままに記事を書くわけではなく、クライアントの依頼に沿って既存の情報をもとに執筆します。
まず、玉石混交の情報から正しい情報をピックアップできなければ、Webライターは務まりません。
また、正しい情報をそのまま書き写した記事に価値はありません。誰もが理解できるようにまとめ直したり、噛み砕いたりして初めて価値を持ちます。
多くのクライアントが高く評価するライターは「正しい情報を噛み砕いて、文章で説明する力」を持つライターです。
文章の柔軟性・多面性
エンタメ系記事は楽しげな文体、医療・法律の記事は理解を促すために落ち着いた文体、というように文章を書き分ける能力です。
「ライターとしての人格」はたくさん持っておくといいですよ!
クライアントがどんな文体を求めているのか汲み取ったり、クライアントからの(厳しい)指摘を受け入れてアジャストする修正力も重要です。
執筆に関連する基礎知識
執筆関連の必須知識としてSEO施策・著作権を挙げておきます!
クラウドソーシング案件で多くを占めるのがSEO記事執筆です。そのためSEO施策の目的・SEO記事の特徴ぐらいは知っておきましょう。
また避けて通れないのが著作権の理解です。著作権はOK・NGの線引きがとても難しく、クライアントによっても基準が変わります。
文章だけでなく画像の著作権・肖像権、正しい引用の方法も含め、基礎を知っておいて損はありません。
HTML
HTMLは記事の骨格を作るプログラミング言語です。HTMLで骨組みを作り、CSS※という別の言語で色や形を指定して文章を装飾したり、検索エンジンに情報を受け渡したりします。
特にWordPressを使う案件では強力な武器!
基本さえ知っていれば「HTML経験者歓迎」案件にも臆せず応募できますし、HTMLを避けて案件を探すよりも選択肢がグンと広がります!
※CSSを触る機会はほとんどありません。
おすすめポイント・おすすめできないポイント
Webライターとして多くの案件に携わり、現在はこの仕事の「表と裏」を見る機会もたくさんあります。
私自身のさまざまな経験から、Webライターのおすすめポイント・おすすめできないポイントを忖度なしでご紹介します!
おすすめポイント
- 知識が広がる・深くなる
- 記事に対する読者の反応がうれしい
- 別の仕事につながる可能性がある
執筆ジャンルが増えれば増えるほど新しい世界に出会えます。私はDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の執筆を通じて「○○テック」の面白さを知り、多少ドヤ顔で語れるようになりました。
また自分の記事がSNSで紹介されていると「書いてよかった!」と感じますし、執筆意欲がぐーんと増します。実は有名人にシェアしてもらった経験も……。
もう1点、執筆を続けていると他記事の良い部分・悪い部分が見えるようになってきます。チャンスがあれば校正・校閲・記事チェックといったエディタ業にシフトすることも可能です。
おすすめできないポイント
- 低報酬・報酬が上がらない
- 成果として公表しにくい
- 今後AIとの差別化が求められる
「隙間時間の執筆だけで月ウン十万円」が可能な人はごく一部。少なくとも私の周囲では「低単価・工数の割に報酬が安い」と感じているライターが大半です。そのため、隙間時間で効率よく稼ぎたい人には向いていません。
また「自分が書きました」と公表できない案件もあります。ポートフォリオにも使えず、経験は積んでいるのに「形」として見せにくいのが難点です。
もう1点はテキストAIの進化による執筆の難化です。簡単なSEO執筆はAIに任せたほうがスピーディーかつ安くあがります。
そうなるとクライアントはWebライターの記事に「AIが真似できない価値」を求めるでしょう。その結果、専門的な知識を持つ「特化型ライター」以外が良案件を取るのは難しくなるかもしれません。
仕事を受託して感じたこと
Webライターになった当初「ライターじゃ食っていけない……」と絶望しました。隙間時間の執筆では「お小遣い」程度の収入です。
また案件のほとんどがSEO記事であり「スピードと数で勝負!」の世界。記事の質ではなく量が評価されるためモチベーションが上がらず、思い描いていたライター像にはほど遠いと感じました。
それでも足を止めるわけにはいきません。「書きたい」と思う案件だけ応募して、スローペースでもとにかく書き続ける。この時期を乗り越えられない人が多いように感じています。
地道に執筆数を増やしていけばスキルも自信も付くはずです。そうすれば、たとえばアフィリエイトブログを立ち上げたり構成作成に軸を移してみたり、ライティング以外の選択肢が増えていきます。
私はちょうど1年目ぐらいで取材執筆を請け負うようになりました。Webライターの経験が生きる仕事は思いのほかたくさんあるんです!
実際の案件を見てイメージを膨らませよう!
「WebライターはAIに仕事を奪われる」「テキストより動画の時代」
一時はこうした声も聞こえましたが、今もWebライターの執筆案件は豊富です!
テキストコンテンツがなくなるわけではありませんし、音声・動画コンテンツ制作においてもWebライターが活躍しています。
Webライターの仕事に興味があるかたは、実際の案件を閲覧してみてください。「これなら書けそう!」と感じる案件がきっと見つかりますよ!