多くのフリーランスが抱える、お金の悩み。
何事も自分次第のフリーランスにとって、お金に関する知識は仕事のスキルと同じくらい大切といえるかもしれません。
今回はフリーランスが支払わなければならない様々な「お金」について解説します。
報酬の受け取りにかかるお金
フリーランスは、報酬を受け取るだけでお金がかかることがあります。
会社員であれば、給与明細に書かれた金額がそのまま銀行口座に振り込まれているはずです。
フリーランスとして報酬を受け取ることになった筆者にとっては、これが最大の衝撃でした……。
クラウドソーシングサイトの手数料
クラウドソーシングサイトは無料で利用できますが、報酬受け取り時に手数料がかかります。
例えばクラウドワークス・ランサーズでは、システム手数料がこのように定められています。
- 「10万円以下」の部分:契約金額の20%
- 「10万円超20万円以下」の部分:契約金額の10%
- 「20万円超」の部分:契約金額の5%
ここで気をつけなければならないのは、これが「報酬のそれぞれの部分に対して発生する」ということ。
合計金額がいくらか、ではないのです。
クラウドソーシングサイトを利用して40万円分の仕事をした場合
この場合「報酬が20万円を超えたから、手数料は5%だ!」とはなりません。
図のように40万円を3分割して計算する必要があります。
- オレンジ色10万円:手数料20%→2万円
- 緑色10万円:手数料10%→1万円
- 青色20万円:手数料5%→1万円
つまり合計すると、2万円+1万円+1万円=4万円!
さらに手数料には10%の消費税がかかるため、4,000円が差し引かれます。
40万円分の仕事で手元に入るお金
報酬40万円ー手数料・税金44,000円
—≫ 実際に受け取れる金額35万6,000円!
ということです!
システム手数料は契約ごとに発生するため、①に該当する10万円以下の契約が多ければ多いほど、引かれる手数料も増えてしまいます。
筆者もクラウドワークス経由で案件を受注していたことがあるのですが、それら全てが手数料の高い10万円以下の案件。
副業フリーランスを始めた頃、5万円分の仕事を終えて大喜びしていたのも束の間、実際には4万円しか振り込まれなかったときの切なさは、いまでも忘れられません。
報酬の振込手数料
報酬受取時に発生する銀行の振込手数料も、基本的には受取人負担です。
まずはクラウドワークス・ランサーズの振込手数料を調べてみました。
楽天銀行 (税込) | 楽天銀行以外 (税込) | |
---|---|---|
クラウドワークス | 100円 | 500円 |
ランサーズ | 110円 | 550円 |
上記クラウドソーシングでは楽天銀行を利用したときの手数料が安いことがわかります。
直接契約の場合は利用する銀行や受取額によって異なります。例として、過去に筆者が報酬を受け取った時の、実際の手数料をご覧ください。
1ヶ月の振込手数料 (税込) | 年間振込手数料 (税込) | |
---|---|---|
クライアントA | 0円 (先方指定銀行利用) | 0円 |
クライアントB | 330円 | 3,960円 |
クライアントC | 770円 | 9,240円 |
年間を通して考えるとクライアントBは3,960円、クライアントCは9,240円が報酬から引かれてしまいます。
月々の手数料は数百円程度でも、回数が増えれば増えるほど金額は大きくなるのです。
報酬額が少ない場合、翌月まとめて支払ってくれるクライアントも。
社会保険料・税金
元会社員の筆者は社会保険料や税金の納付は基本的に会社任せで、「自分が保険料や税金を支払っている」という実感がありませんでした。
支払う額の大きさに気がついたのは、フリーランス転向後。
次々に届く納付書を見て、「こんなにお金がかかるの!?」と慌てた記憶があります。
筆者と同じ目に遭わないためにも、会社員からフリーランスへの転向を希望する人は特に支払うべきお金の知識をつけておいてください。
年金
20歳以上60歳未満の全員が加入する国民年金。
保険料は一律ですが、物価や賃金の変動率をもとに毎年調整されます。
たとえば直近3年間は、このように変動しました。
- 令和2年度:16,540円
- 令和3年度:16,610円
- 令和4年度:16,590円
基本は毎月納付ですが、6ヶ月・1年・2年分を一括で前納することもできます。
健康保険
ほとんどのフリーランスが、市区町村運営の国民健康保険に加入します。
保険料は住んでいる市区町村、そして前年の所得に応じて異なるのが特徴です。
1年分の保険料を6月から翌年3月まで10回に分けて月1回納付するため、1回あたり1.2か月分の保険料を支払う必要があります。
住民税
住んでいる都道府県、および市区町村に納める税金です。
課税所得に応じて変動する所得割額と、一律で定められた均等割額によって税額が決まります。
- 道府県民税・都民税:4%
- 区市町村民税:6%
- 均等割額:4,000円
(2023年までは5,000円)
納付書が届く6月以降に一括、または年4回にわけて納付します。
所得税
年間の課税所得の額に応じて、5%〜45%まで7段階の税率が定められています。
日本は累進課税なので、所得が多ければ多いほど所得税額もアップします。
さらに2037年までは復興特別税が課税されるため、所得税額の2.1%が上乗せされます。
「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(平成23年法律第117号)が平成23年12月2日に公布され、平成25年1月1日から施行されます。
このため、源泉徴収義務者の方は、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、その合計額を国に納付していただくこととなります。
引用元:復興特別所得税関係(源泉徴収関係)/国税庁
所得税は基本的に一括納付。
延納制度はあるものの2回に分割することしかできないため、まとまって大きな金額が必要です。
支払額シミュレーション
月々の利益が20万円として、保険料や税金の支払額を試算してみましょう!
- 年金:199,080円(令和4年度の場合)
- 健康保険料:171,000円
- 住民税:137,000円
- 所得税:65,000円
年間で支払う額 –≫ 572,080円
今回の試算によると、年間で支払う額は572,080円。なんと、年間の利益の約25%に値します。
住んでいる地域によって税率が異なること、そしてこの試算には所得控除が含まれていないことから、実際にはこの通りにはなりません。
ただ、保険料や税金の高さは実感できるでしょう。
会社員から独立した人は要注意!
ここでご紹介した保険料や税金の多くが、前年の所得を元に決定されます。
つまり副業フリーランスが独立した年の保険料や税金は、会社員とフリーランス、ふたつの所得を合わせた額を元に計算されるということ。
これを把握しておかないと、想像以上に高い保険料・税金で生活が苦しくなってしまいます。
(筆者が納付書を見て慌てふためいた理由のひとつも、これでした。)
独立初年度は支出が多くなる覚悟をしておきましょう!
ある程度の蓄えを準備してから独立すると安心です。
ワークスペースにかかる経費
フリーランスの大半がリモートワーク。
自分の好きな場所で働けるのは大きなメリットですが、その反面オフィスワーカーにはない費用が発生するというデメリットもあります。
自宅の電気代
在宅で仕事をする場合、仕事にかかる電気代はもちろん自己負担です。
- パソコン、プリンターなどの電子機器類
- 冷暖房器具
- 照明器具
たとえば1日8時間、電気とクーラーがついた部屋でデスクトップパソコンを使って仕事したとしましょう。
この場合、電気の契約プランや各家電の消費電力によって異なるものの、おおよそ170円〜210円の電気代がかかるとされています。
つまり1ヶ月に20日働くと、3,400円〜4,200円かかるということです。
ネット回線費用
仕事の有無にかかわらず契約している場合はあまり負担に感じないかもしれませんが、仕事のために新たに契約するとなると、そこそこ大きな負担になります。
- ポケットWi-Fi:3,500円程度
- ホームルーター:4,000円程度
- 光回線:3,000円〜6,000円程度
回線のタイプや契約する会社、スマートフォンや固定電話の併用による割引有無などで料金は異なります。
通話料
筆者が会社員だった頃は社用携帯が貸与されており、仕事に関係する通話費用はすべて会社負担でした。
しかしフリーランスの場合、仕事にかかる通話料はすべて自己負担です。
無料通話機能のあるアプリを使用して連絡を取れる場合はいいですが、通常の電話回線を使用した通話が発生する場合は費用が発生します。
フリーランスの通話料については、こちらの記事も併せてご覧ください。
カフェやコワーキングスペースの利用料
自宅では集中できない!という人は、カフェやコワーキングスペースを利用するでしょう。
そこで発生する費用も、当然自己負担です。
カフェで仕事をする場合
例)1杯300円のコーヒーを毎回(月20日)注文
300円×20日 —≫ 6,000円!
コワーキングスペースの利用料はサービスの充実度、利用形態によって様々ですが、時間利用だと1時間300円程度〜、月額だと5,000円〜20,000円程度が相場。
個室利用の場合、施設によっては月額50,000円程度かかることもあります。
フリーランスこそお金の知識をつけるべし!
フリーランスには、自分で管理し支払わなければならないお金がたくさんあります。
特に会社員からフリーランスへ転向する際は要注意!
会社員の「手取り」と、フリーランスの「売上」がもし同じ金額だったとしても、実際に手元に残るお金には大きな差があるのです。
支出の多さで生活が苦しくならないよう、独立する前にお金に関する正しい知識をつけておくことをおすすめします。
もちろん知識だけでは太刀打ちできません。心の準備、セルフマネジメント、自分の身の回りの環境を徐々に整えていくことも大切です。
REMO-zineは副業フリーランスや会社員からのフリーランス転向を考えている女性を全力で応援しています!