仕事をしながら指導・育成してもらえる会社員とは異なり、実力主義のフリーランスは何かしらのスキルを持っていることが前提。
仕事を得るためには、スキルをはじめとするアピールポイントをクライアントに提示する必要があります。
そんなアピールポイントのひとつが、資格です。
自分の実力をしっかり伝えてクライアントに選んでもらうために、資格は欠かせない要素だと考えている人も多いでしょう。
しかし実際のところ、フリーランスに資格は必要なのでしょうか?
資格を持っていないフリーランスは不利なのでしょうか?
今回は、フリーランスの資格にまつわる疑問を解決していきます。
資格を取るメリットは?
資格は大事! ということを何となく意識していても、実際にどんな場面で役立つか考えたことはあるでしょうか?
たとえば資格を持っていると、以下のようなメリットがあります。
- 付加価値になる
- 仕事に直結しない資格が役立つこともある
付加価値になる
自分がクライアントの立場として、フリーランスのコーダーに仕事を依頼する場面を想像してみてください。
募集をかけたところ、AさんとBさんが応募してきました。
どちらか1名を選ばなければならない場合、あなたはどちらの人に仕事を依頼するでしょうか?
- Aさん:コーディングのスキルがある
- Bさん:コーディングのスキル+関連資格がある
おそらく多くの人がBさんを選ぶでしょう。
同じレベルのスキルや経験を持つ人が競合になったとき、資格はプラスの要素になります。
このように考えると、「資格は持っていて損はない」ということになりますね。
仕事に直結しない資格が役立つこともある
実は「取得したものの活用していない資格」が、フリーランスの仕事で役立つ可能性もあります。
Webライターが、とある資格を保有していたと仮定しましょう。
Webライター×ビジネス会計検定
たとえばWEBライターの筆者が、ビジネス会計検定2級資格を持っていたとします。
この資格は財務諸表の知識をはかるもので、ライティングのスキルには直接関わりません。
ただしビジネススキル関連メディアのクライアントからすると、「この人は知識がある=安心して執筆を任せられそう」と考える根拠になります。
Webライター×ITパスポート
WEBライターの筆者が、ITパスポートを持っている場合はどうでしょうか。
この資格は「専門性の高いITスキル・知識」を担保するものではありません。つまり「IT関連に詳しい人」という評価につながることは多くありません。
しかし、現代のフリーランスにとって専門性の高さよりもさらに大切なことがアピールできます。
- ITリテラシーが高く機密情報漏洩のリスクが低い
- ITの基礎知識があるためトラブル対応能力が高い
昨今の仕事に欠かせないIT技術を正しく理解し、正しく扱えることは、クライアントにとって大きな安心材料です。
これらの場面では資格を持っている方が好印象であり、高い評価が得られるといえますね。
結局資格ってどの程度重要なの?
ここまで「フリーランスと資格の関係」を見てきました。
結局のところ、フリーランスにとって資格はどの程度重要なのでしょうか?
たとえば駆け出しのフリーランス・未経験フリーランスの場合、資格は強い味方になってくれます。
未経験フリーランスが案件に応募する際、主に以下の2点で「不利」です。
- クライアントにアピールできるスキルがない。
- 胸を張って語れる実務経験がない。
しかし案件に関連する資格を持っていれば、実績や実務経験の少なさを保有資格で補える可能性があります。
このように考えると、未経験でフリーランスの世界に飛び込む人にとっては重要度の高いものだといえそうですね。
しかし、「フリーランスに資格は必須!」ではないのです。
資格より大切なもの
ここまで資格のメリットを説明してきましたが、筆者は決して資格取得を勧めたいわけではありません。
また、「フリーランスにとって資格は必須!」だと言うつもりもありません。
筆者は資格よりも大切なものがあると考えています。
- 実務経験
- 自分は何ができるのか
資格よりも実務経験
たとえばこれまでに、以下のような実務経験を積んでいたとしましょう。
- エンジニアとして大きなプロジェクトを担当した
- デザイナーとして数多くのサイトデザインを担当した
資格がクライアントへのアピールポイントになるとすれば、その職種での実務経験も同じくアピールできるポイントです。
実務経験に加え、「こんなものを作りました」と提示できる実績があればさらに、周囲に差をつける強力な魅力になるでしょう。
実務経験が豊富なフリーランスにとって、資格はそこまで重要ではないといえそうです。
重視すべきは「自分に何ができるか」
だからといって、「資格も実務経験もないフリーランスには魅力がないのか?」「そういうフリーランスは案件を獲得できないのか?」というと、そうではありません。
資格や実務経験も大切な要素ですが、それよりも大切なのは「自分に何ができるか」です。
フリーランスの案件詳細には、仕事内容とともに「応募条件」「応募資格」が書かれています。以下は一例です。
必須資格
例)看護師国家資格(実務経験問わず)
必須経験
例)スマホアプリの作成経験(趣味でも可)
例)PMとして3年以上の実務経験
必須スキル
例)HTML/CSSを使ったWebサイトを1から作れる
例)Photoshopが使える(要実務レベル)
歓迎条件
例)株を買ったことはないが興味がある
例)Officeソフトの使用に抵抗がない
実は「〇〇のソフトが使える方」「〇〇分野に興味がある方」など、スキルや経験の「深さ」を問わない場合も少なくありません。
つまり実務経験がなくてもOK、趣味でも何でも使ったことがあればOK、ということ。
例:Excelが使える方(実務経験問いません)
学校や会社でMicrosoft Office(Excel・ Word・PowerPointなど)を使ったことがある人も多いでしょう。
これらのソフト使いこなすスキルを証明するための資格に、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)があります。
もし案件の募集条件に「MOS必須」と書かれていた場合は、この資格を所持していなければなりません。
しかしながら、案外そのような条件は少ないもの。
- PowerPointを使ったことがある
- Excelを使える(関数の知識がある)
ほとんどがこのような、「使えるか否か」という程度です。
これならMOSを持っていなくても、独学で使えるようになった人や会社で使ったことがある人なら誰でもその案件に応募できるというわけです。
Excelについてよく見かける条件は「Excelを使ったことがある(vlookup程度の関数がわかる)」です。このレベルなら今すぐ頭の中に放り込むことが可能!
資格にこだわりすぎない
以下の記事で、「フリーランスにとっては仕事を得るための努力も仕事の一部だ」と書きました。
資格を取ることも、実務経験を積むことも、「仕事を得るための努力」のひとつです。
ただしそれにこだわりすぎるのもよくありません。
資格のことで頭がいっぱいになったときは、以下の2点に目を向けてみてください。
- 資格よりも好奇心!
- 広く浅くで十分!
資格よりも好奇心を大切に!
資格にこだわりすぎると、「自分には資格がないから仕事はもらえないんだ」と、仕事の幅を自ら狭めてしまいかねません。
資格を取ったり実務経験を積んだり、自分の専門分野に磨きをかけていくことはもちろん大切です。
しかしそれ以上に、興味を持ったものには何でも手を出してみる好奇心が重要だと考えています。
「広く浅く」でいい!
自分の得意を伸ばし、それに関連する実務経験を積み、資格を取得して、その道を極めるのもひとつでしょう。
プロフェッショナルとして高い評価を得ることで、案件がたくさん獲得できるかもしれません。
しかし、フリーランスの道はそれだけではないと筆者は考えています。
浅く広く
自分ができることは何でもやってみる。ひとつの仕事にこだわらず、手広く展開してみる。
自分の得意分野だけでなく、気になったことには何でも興味を示し、広く浅く様々な知識・スキルを身につけた人は、きっとその道のプロフェッショナルにはできない、幅広い仕事を経験できるでしょう。
このように考えると、複数ジャンルの仕事を同時進行できるので、リスクヘッジにもなりますよ。
「自分にできること」を考えよう
資格は自分のスキルや知識を証明してくれるものです。
持っていれば、確かにアピールポイントのひとつになるでしょう。
しかしそれと同じくらい強力な魅力になるのは、「何でもできる」ことです。
難しく考える必要はありません。
- 自分が興味を持ったものは何でも調べて、知識をつけておく
- 気になったソフトは試してみて、何でも「使えるレベル」にしておく
「気になったものはひとまず試してみる」「仕事に関係しそうなことには何でも挑戦してみる」ことが大切です。
失敗してもいいや!という軽い気持ち、そしてとりあえずやってみよう!という前向きな気持ちでぜひ、取り組んでみてください。
これらの知識や経験が、フリーランスにとって強い武器になるのです。