リモートワークでチャットのやり取りが噛み合わず、無駄に長引いてしまった経験はありませんか。
ビジネスチャットのやり取りは、およそ1往復程度で終わるのが理想とされていますが、やり取りが終わらない、意図が伝わらないなどのお困りごとをよく耳にします。
少しでも理想に近づくために、今回はリモートワークのチャットのやり取りを長引かせないポイントや対策をまとめました!
私の体験談とともに、相手に伝わるチャットの文章例も併せてご紹介します。
無駄なやり取りが生じやすいチャットの特徴
チャットのやりとりが増える原因は、ズバリ『情報不足』です。
最初のチャットに必要な情報が記載されていれば、その1通で相手は納得し、やり取りは増えません。情報が不足していれば必然的に質問などのやり取りが増えてしまいます。
では、無駄なやり取りが生じやすいチャットにはどのような特徴があるのでしょうか。2つ挙げてみます。
- 情報が小分けで送られるチャット
- 文章が冗長で要点が伝わらないチャット
情報が小分けで送られるチャット
1つ目は情報を小分けにしたチャット投稿です。
当然のことながら、10個ある必要事項を1個ずつ小分け送信すれば、小分けにした分だけやり取りが増えます。
例を挙げてみましょう。あなたは明日、友人をディナーに誘いたいと思っています。まずは小分けにチャットを送るケースです。
ディナーのお誘い①
明日、空いている?
→→→空いているけれど、どうしたの?
ご飯食べに行かない?
→→→いいよ! 何時に行く?
18時ごろでどう?
→→→了解です!
相手の了解が得られましたね。やり取りは既に3往復です。もっとコンパクトにまとめられるのではないでしょうか。
次は、ディナーに誘いたいことやその他の情報を1回目のチャットで伝えてみます。
ディナーのお誘い②
明日18時ごろからご飯を食べに行きたいのだけど、予定は空いている?
→→→空いているよ、行こう!
情報を1つの投稿にまとめるだけで3往復もやり取りをする必要がなくなり、簡潔に話が進みました。
連絡を小分けにすればするほど、相手からの質問も増えて、やり取りが多くなってしまうのです。
文章が冗長で要点が伝わらないチャット
2つ目の原因は、逆に文章が長すぎて伝えたいことがわからないパターンです。
必要な情報をまとめて盛り込むことは大切ですが、だからといって情報が多ければいいわけではありません。
本題と関係ない情報を織り交ぜたり、雑談が多すぎたりすると本当に伝えたいことが埋もれてしまいます。
的確に情報が伝わらなければ、相手からの質問が増えたり何度も同じことを説明したりと、結果的にやり取りが増えていくのです。
長すぎず短すぎず、必要な情報をシンプルに伝えることが、やり取りを長引かせないポイントです。
チャットのやり取りがなかなか終わらなかった実例
先日、リモートワークでお世話になっているクライアントから仕事の依頼がありました。そのときのチャットの内容がこちらです(一部改変)。
依頼メッセージその①
お世話になっております。
neco様に新たなサイトのライティングのご依頼をさせていただきたいと思っています。
大体1時間程度で執筆できるものなので、neco様の対応できる時間で執筆をしていただけると思うのですがいかがでしょうか?
明後日までにお返事いただけますと幸いです。
とても丁寧な文章で好感が持てますね。しかしこのチャットだけでは情報が不足しており、業務の受託検討ができませんでした。
- 執筆するサイトの情報
- 報酬はいくらなのか
- 月に何件執筆するのか
この3点を確認するためにチャットに返信したところ、以下の文章が送られてきました。
依頼メッセージその②
執筆サイトは以下です。
https://××××××××
報酬は文字数によって変わるのですが、◯◯円〜☆☆円になります。
月の執筆数はなるべくご希望に添えるようにします。
希望を加味してもらえるのであれば、と私は「1ヶ月に7記事」の執筆を希望する旨を返信したところ、こんな回答がありました。
依頼メッセージその③
承知いたしました。
できれば1ヶ月最低でも10件ご執筆いただけると嬉しいのですがいかがでしょうか。
うーん……。
月の執筆数はできるだけ希望に沿わせる、と言いつつも担当者側のノルマが存在していたようです。
「じゃあ10件でお願いします!」と返信してようやく担当者とのやり取りは終わりました。ここまででチャットは既に3往復です。
レスポンスが早ければ、ある程度許容できるのかもしれません。しかしこのチャット、実は1日1往復ペースだったのです。
その結果、やり取りが終わるまでになんと3日もかかってしまいました。
これが電話だったら3分ほどで終わる内容でしょう。3分後には執筆に着手できた可能性もあります。
担当者も私も時間を大幅にロスしていたことは間違いありません。
大げさなようでいて、フリーランスのリモートワークでは「あるある」なやり取りです。ご自身を振り返ってみて、いかがでしょうか!?
チャットで内容を的確に伝えて
無駄なやり取りをなくすには?
電話を使えばすぐに終わるやり取りです。しかし、リモートワーク中の電話は仕事の流れを強制的に止められるから苦手……と感じる人も少なくないでしょう。
個人的には、フリーランスのリモートワークにおいて『電話は緊急時のみ』という印象が強いです(そういうクライアントも実際にいます)。
こうしたケースでは、チャットで的確に内容を伝える工夫が必要ですね。ポイントは以下の4つです。
- 既に決まっている情報は最初のチャットに書く
- 希望や条件(譲れないこと)は最初のチャットに書く
- 期日を決めて最初のチャットに書く
- 相手を気遣う
既に決まっている情報は最初のチャットに書く
先程の依頼チャット①②を見ると、執筆サイトと報酬は最初から決まっていたようです。
サイトや執筆テーマなど、事実として既に決まっていることは1回目の依頼文面に記載した方がいいでしょう(サイトのURLやターゲットなど)。
報酬は文字数によって幅があるようでした。この場合も文字数と単価を一覧やリストにして提示すると相手は理解しやすく、検討がスムーズです。
こうした情報を最初の投稿に含めれば、依頼された側はサイトを見てみたり、業務内容に報酬が見合っているか確認でき、場合によってはこれだけで執筆の可否が判断できます。
希望や条件(譲れないこと)は最初のチャットに書く
依頼に際して何らかの条件や希望がある場合も先に伝えましょう。
相手はその条件では受託できないかもしれませんし、意図を汲んで条件に合わせてくれるかもしれません。
例えば、月に最低10件執筆してほしいことを最初から提示すれば、依頼された側は「10記事は無理、8記事なら書ける」「20記事いける」など具体的な数字で返しやすくなります。
またサイト情報から執筆難易度が読み取れれば、執筆数の上乗せが可能かもしれません。
これらは依頼する側の視点ですが、依頼を受ける側も同様です。譲れない条件を先に伝えておけば、そもそも的外れな依頼が舞い込んできません。
先に希望を伝えることで無駄なやりとりが減り、本来の業務が進めやすくなるでしょう。
期日を具体的に決める
明後日までに返信をくださいと伝えても、明後日の17時までなのか、それとも日付けが変わるまでなのか不明です。
チャットの送信時間が0時前後になれば認識の齟齬が生じ、1日ズレるリスクもあります。
期日を曖昧にすると、送る側の意図がどうであれ最終的な判断は相手に委ねるしかありません。
仮に17時までに返信がほしくても、相手は「日付けが変わるギリギリに返せばいいか!」と思っている可能性も……。
こうしたことを防ぐためにも期日は時間まで指定した方がいいでしょう。
相手を気遣う
必要事項のみを淡々と並べたチャットはどうしても冷たい印象を与えます。
相手の名前を入れて、こちらの誠意が伝わるような文章にする工夫も大切です。いつも快く依頼に応じてくれる方なら感謝の気持ちを軽く添えるのもいいですね。
相手を気遣う文章が多すぎたり飾り立てた言葉を並べすぎたりすると、今度は肝心の情報が埋もれてしまうので、気遣いはあくまでさりげなく折り込みましょう。
ポイントを踏まえてチャットの文章を変えてみました
上記のポイントを踏まえてチャットの文章を変えるとこうなります。
お世話になっております。
いつも弊社の業務にご協力いただき、ありがとうございます。
本日はneco様に新たなサイトのライティング業務にご協力いただけないかご相談に参りました。
サイトの詳細は以下のURLをご覧ください。
https://××××××××
弊社としては1ヶ月に最低10件以上、20件程度を目安にご執筆いただきたいと考えております。
ただ、neco様も多方面の業務でお忙しい中かと思いますので、無理のない範囲でご執筆できるように変更可能です。
希望などございましたら遠慮なくお申し出ください。
基本報酬は以下になります。
- 3,000字:◯◯円
- 4,000字:△△円
- 5,000字:☆☆円
対応の可否を【●日●時まで】にご連絡いただけますと幸いです。
依頼メッセージ①〜③に記載していた内容を、1つのチャット文面に盛り込んでいます。
依頼された側がやるべきことは、●日●時までに対応の可否(+あれば希望)を先方に伝えるだけ。質問の時間を省くことができますね。
最初にこれだけの文章を組み立てるのは大変かもしれません。しかし何度もチャットのやり取りをして、その都度別業務の手を止める方が時間のロスは大きいのではないでしょうか。
質問が多くなってしまうのを防ぐには
いくら情報を的確にまとめたチャットを送信しても、やりとりが増えてしまう場合もあります。よくあるのは、わからないことは何でも質問する相手とのやり取りです。
複数人に仕事を依頼する場合、同じような質問に何度も何度も答えなければならないことも……。
そんなときの対策として、「よくある質問」をまとめておくのがおすすめです!
チャットを送るときに「よくある質問集」を併せて送信すれば、質疑応答の数も回数も減らせます。
無駄なやりとりをやめて自分の時間を守ろう
顔が見えない・声が聞こえないチャットで、伝えたいことをしっかり伝えるためには工夫が必要です。
相手の立場に立ち、相手の理解を促すポイントを意識して文章を考えると、必要な情報が漏れなく組み込めるでしょう。
こうした工夫をすれば「無駄なやり取り」が減り、そこに費やしていた時間を他の業務にあてられますね。
1回のやりとりはたった数分でも、チリも積もれば何時間にもなります。
自分の時間を守り、相手の時間を奪わないよう、日頃から意識していきたいですね。