筆者は仕事中、メモを手書きしています。
PCのみならずスマホやタブレットでも使えるメモアプリが充実している中、いまだにアナログな手段にこだわっているのには理由があります。
それは、手書きメモならではのメリットを感じているから。魅力を知っているから。
今回は、あえてメモを手書きし続けている筆者が、その魅力をたっぷりお伝えします。
なぜ手書きメモにこだわるのか
筆者がいまだに手書きでメモを取り続けている理由。
もちろん「手書きが好きだから」ではありますが、それ以上に「手書きメモの魅力が自分にマッチしたから」というのが大きな理由です。
今回のライターは、流れの速いWebミーティングも手書きメモで乗り切ってきた現役リモートワーカーです!
手書きメモの魅力
手書きメモとメモアプリを比較してみると、メモアプリの方が使いやすいのでは? と感じる部分がいくつかあります。
- 入力がスピーディー
- メモ自体を持ち歩く必要がない
- タスク管理や編集、検索が簡単
それでも手書きメモを好むのは、手書きならではの魅力があるからです。
記録にも記憶にも残る
記録することだけが目的であれば、スピード面で劣る手書きメモにメリットはありません。
ただし限られた情報しか記録できないからこそ、「情報を取りこぼさないようにしよう!」という意識がより強く働きます。
これによって、より集中力が高い状態で相手の話を聞くことができるのです。
ただ流れていく情報を無心で記録するメモアプリと、高い集中力をもって追った情報を記録する手書きメモ。
どちらも同じ記録は残りますが、記憶に残りやすいのは後者です。
記録と思考整理を同時にできる
スピーディーに文字を打ち込めるメモアプリは、聞いた話を丸ごと記録することができます。
しかし相手の話をなぞるだけで、メモを取ること自体が目的になりがち。
これに対して、手書きメモは一字一句を記録する時間がありません。
つまり相手の話を聞くだけでなく、その中から重要事項を瞬時にピックアップし、要約する必要があるということ。
手書きメモではこのような「要約力」「判断力」を無意識のうちに磨くことができます。
また内容をなぞるだけでなく、一度頭に入れて整理してからメモに落とせるので、思考整理にも役立ちます。
理解を深めたうえで疑問点や不明点の洗い出しができるため、一石二鳥以上の効果が見込めるといっても過言ではありません。
記憶へのアクセスが簡単
すべての情報がデータ化されているメモアプリなら、検索性もばっちり。
また内容の入れ替えが簡単にできるため、たとえ会議中に話が前後したとしてもテーマごとにスッキリとまとめられます。
情報整理という面では、メモアプリの方が使いやすいように見えますね。
しかし手書きメモには、それぞれの仕様に合わせるしかないメモアプリと異なり「レイアウトが自由」という強みがあります。
どこに何を書こうが、何色で書こうが、どの向きで書こうが、全てがメモを取る本人次第。
実はこの自由さが、記憶へのアクセス性を高めています。
自由なレイアウトはそれ自体がひとつの情報となり、メモの内容とリンクします。
「あの内容はメモの右下に書いた」「あの件は赤ペンで書いた」といった具合に、記憶と連動させることで検索性の低さをカバーできるのです。
さらに編集のしにくさも、記憶へのアクセスを容易にします。
手書きメモは聞いた話を時系列でまとめるしかありません。テーマごとにまとめにくいというデメリットはあるものの、話の展開を振り返りたいときには便利です。
また時系列で振り返ったり、必要な情報を探したりする中で、目的外の情報にも簡単にアクセスできてしまいます。
これがほかの仕事のヒントになったり、抜け落ちていたタスクの再確認に繋がったり……と、意図していなかったプラス効果を及ぼすこともあるのです。
教科書の肖像画に落書きすると、その人の名前は覚えられますよね、それに似ています。
手書きメモ、実はかなり優秀では…!?
デジタル化が進んだ現代、わざわざ自分の手を動かす手書きメモは非効率的だと感じる人も多いでしょう。
実は筆者も、業務の効率化を狙ってメモアプリを使っていた時期がありました。
しかしPC上に記録されたメモを見返しても、「なぜこのメモを取ったのか」「このメモは何を意味しているのか」わからないという事態が頻発。
結局そのメモを読み解き、自分の思考を整理しながらまとめ直す作業が発生し、業務の効率がかえって落ちてしまったのです。
この経験を経てわかったのは、手書きメモには自分の手を動かす労力以上にたくさんのメリットがあるということ。
業務の効率をアップするためにも、手書きメモを活用しない選択肢はありません!
手書きメモを使いこなすためのコツ
ただし手書きメモ、軽い気持ちで始めるのはおすすめしません。
メリットを最大限に活かして手書きメモを使いこなすために、筆者が見つけたコツをご紹介します。
タスク管理のコツ
一般的なメモアプリと同様、筆者も手書きメモに「記録」と「タスク管理」という2つの機能を持たせていました。
このときに気をつけていたのが、以下の2つ。
- 各タスクの前にチェックボックスを大きく書く
- タスクは細分化した工程を丸ごと書き出す
チェックボックスをつける目的は、もちろんタスクの完了/未完了を把握するためです。
大きく書いておくことでメモの中でも目立ち、重要なタスクを取りこぼす心配がなくなります。
これと同じくタスクの進捗把握に役立つのが、工程のひとつひとつをタスク化すること。
最終ゴールだけを書いておくと、タスクの進捗も、次に自分がやるべきことすらも見えません。また大きなタスクが残り続けるので、モチベーションも低下しがち。
しかし工程をすべて書き出し、ひとつ終わるたびに消していけば、最終ゴールに対してどのくらい進んでいるのか、次に何をすればいいのかが一目でわかるようになります。
モチベーションの維持ができるだけでなく、上司への進捗報告もしやすくなるのです。
メモの取り方のコツ
手書きメモに限った話ではありませんが、とにかく数字は必ず記録してください。
とくに手書きメモに慣れていないうちは、会議中に数字が出てきたら無条件にメモを取る! くらいの意識でちょうど良いかもしれません。
納期、金額、受発注数……。数字はとても具体的で、常に重要な情報です。
タスク管理に必要なだけでなく、漏れなく記録しておけば思考整理にも役立ちます。
また数字情報のほか、重要事項や優先度の高い内容は目立つように記録するのもポイント。
- アンダーライン
- ぐるぐると〇で囲っておく
- ほかの情報より大きい字で書く
メモを取るときのひと手間だけで、重要な情報を瞬時に見分けられるようになります。
レイアウトのコツ
記録を取りながら自分の記憶にもしっかり刻みこむために、メモを取るときはレイアウトを意識してください。
ポイントは「適度な余白」と「色分け」です。
先ほど触れたように、手書きメモは時系列で書くことしかできません。
ここで役立つのが、適度な余白。
もし会議中に話が前後しても、小さな余白を設けておけば関連する話題の近くにメモを差し込むことができます。
メモアプリほど自由に編集できなくても、こうした小さな心掛けだけで手書きメモも「編集」しやすくなるのです。
そしてここで重要なのが「色分け」。
例えば会議中に話題が前後し、あらかじめ用意しておいた小さな余白にメモを取る場合、同じ色で書いてしまうと、最初に書いたメモと混ざって必要事項がわからなくなりがちです。
しかし色分けをしておけば、隙間に目一杯メモを詰め込んだとしてもスッキリ見えますし、加筆部とそうでない部分が一目瞭然。文章の切れ目もわかりやすいので、見返すときにも便利というわけです。
さらに色分けは、同じページに複数の内容をメモするときにも役立ちます。
例えばメインは黒、確認事項や疑問点は赤、タスクは青……のような色分けのイメージです。
色分けしてあれば、パッと全体を見渡したとき、どこに何が書いてあるか瞬時にわかるので、自分が確認したい内容に容易にアクセスできます。
用途が決まっているメモより、自由に書き込めるシンプルなメモのほうがよさそうです!
手書きメモには手間以上に多くのメリットがある!
非効率的に見える手書きメモも、アナログだからこその特徴をうまく活用すれば、日々の業務を助けてくれる便利なツールになり得ます。
ただし重要なのは、メモを取ることが目的にならないように気をつけること、そして自分に合わないと思ったら無理して続けないこと。
手書きメモにもメモアプリにも、それぞれメリットとデメリットがあります。
まずは自分自身の目的に合うメモを選ぶこと。それが、メモを使いこなすための第一歩かもしれません。