リモートワークの普及で、「リモハラ=リモートハラスメント」という言葉を耳にすることが増えました。
リモートハラスメントは、リモート環境下で起こりうるハラスメントの総称です。
リモートワークに馴染みのない人は「リモハラってどんなこと?」と具体的なイメージが湧きづらいかもしれません。
しかしどんな仕事でも人と人が関わる現場では、リモハラに限らず、セクハラ・パワハラ・モラハラなども起こりうるでしょう。
今回はリモートワークに潜む闇「リモハラ」について、その事例や今すぐできる対策を紹介します。
正しい理解と当事者意識がリモハラ対策の第一歩
そもそもリモートワーク環境下において「リモハラ対策」を行うためには、ワーカー自身がリモートハラスメントについて正しく理解しておくことが大切です。
中には「リモハラ」を受けていることに気づかず、不快な気分に耐えながら仕事をするリモートワーカーもいます。
そして自身が無意識の内に、取引先や同僚に対してリモハラをしている可能性もゼロではありません。
リモートワーク環境下では、取引先や同僚とのコミュニケーションツールとしてチャットやオンラインビデオを使用するのが一般的です。
対面でのコミュニケーションとは異なり、些細な言動やタイミングのずれがミスコミュニケーションへつながる可能性が高いといえます。
快適なリモートワークのためには、リモート環境下だからこそ相手に配慮したコミュニケーションを意識する必要があるでしょう。
特にフリーランスのリモートワーカーの場合、リモハラが起きても頼れる人が傍にいないケースがよくあります。
自分が被害者・加害者にならないよう、コミュニケーションに対する意識を高くもって、リモハラ対策を万全にしましょう。
気持ちよくやり取りできる人を真似てみるといいですね!
よくあるリモートハラスメント事例
では「リモハラ」と呼ばれるハラスメントには、実際どのような事例があるのでしょうか。
「リモハラ」に対する感度を高めるため、リモートハラスメントの例をいくつか確認しておきましょう。
オンラインビデオによる過度な個人のプライベートへの介入
「リモハラ」の典型的な例の1つとして、プライベートへの過度な介入があげられます。
リモートワークでのミスコミュニケーション・リスクを減らすために欠かせないのが「Webカメラ」です。
在宅でのWebカメラ映像には、少なからず自宅の様子や自宅での装いなど、個人のプライバシーが映り込む可能性があります。
その結果「部屋きれいだね、もっと見せて」「部屋着かわいいね」など、プライバシーに関わる話題に移行しやすいといえるでしょう。
話題にする側は何気ない話題、しかも褒め言葉だから何の問題もないと考えるかもしれません。
しかし仕事上の関係だと割り切っている方にとって、上記のような発言は「リモハラ」に該当することが多いのです。
相手がプライベートへ執拗に干渉してくることがあれば、それはれっきとした「リモハラ」といえるでしょう。
何か見えてしまっても「見ていない」ことにするのも大切。
過度な監視体制を要求する
リモートワーク環境下では、ワーカーの稼働状況を監視するために、WebカメラONの状態での作業を要求する会社も多いようです。
個人の努力や勤務態度を評価しづらいのがリモートワークのデメリット。
Webカメラを使えば作業の様子や勤務態度が把握できるため、必ずしも悪い使い方だとは言えません。
しかし目的が何であれ、四六時中Webカメラを通してワーカーを監視し声をかけたり、頻繁に作業報告を催促したりする言動は、場合によっては「リモハラ」に該当する恐れがあります。
加害者に自覚がなくても、受ける側が不快感や精神的なストレスを感じることがあれば「リモハラ」に該当する。これを忘れないでおきましょう。
暴言・叱責・無視などの精神的攻撃
オンライン会議やチャットでのやりとりにおいて、ワーカーに対し侮辱的な発言や暴言をすることもリモハラに該当します。
またリモート環境下で特定のワーカーを故意に仲間外れにしたり無視したりするのも、「リモハラ」に該当するでしょう。
リモート環境はコミュニケーション手段が限定されるだけでなく、やりとりのタイミングや内容によっては相手に誤解を与えやすい環境です。
加害者は無視したつもりがなくても、やりとりのタイミングが合わないことでリモハラ疑惑をかけられる恐れもあります。
言葉は誰かに届けるもの、コミュニケーションは誰かと取るもの。相手へ配慮が大切です。
多くのワーカーが参加するチャットで名指しで怒るのもNG。
今すぐ実行!自分でもできるリモハラ対策とは
「リモハラ」は起きてから対処するよりも、起こらないよう対策を講じることが理想的です。
リモートハラスメントをしない・されないための対策や注意点を確認し、実践していきましょう。
Webカメラでの自分の見せ方を工夫しよう
プライベートへの過度な介入は、主にWebカメラの使用が原因で発生します。
リモートワークでWebカメラを使う方は、なるべく背景に私的なものを映さないようにWebカメラを設置することが大切です。
自ら私的な情報を制限すれば、私的な話題の発生は防げます。
Webカメラを使用する日は、オフィスカジュアルを意識した常識的な装いを心掛けましょう。
またWebカメラでは相手と視線を合わせて会話するのが難しく、人によっては態度が悪いという印象を持つ人もいます。
相手に悪印象を与えないためにも、Webカメラ越しに会話をする際は、Webカメラのレンズに視点を合わせて話すことが大切です。
自分のステータスを可視化して明確に伝えよう
Webカメラによる過度な監視体制は、ワーカーの稼働状況の把握を目的とするケースがほとんどです。しかし不快な思いをする人がいるなら、管理方法を見直すべきでしょう。
とはいえ管理方法を決めるのは上司、かもしれません。
上司が知りたいのは稼働状況や作業進捗です。忙しい上司に映像から汲み取ってもらうのではなく、自ら情報を提供してみてはいかがでしょうか。
ワーカー自らが稼働スケジュールを明確にし、共有カレンダーやタスク管理機能を使用してまめに作業報告をすれば、Webカメラによる監視を減らすことができるかもしれません。
リモート環境下では、業務の可視化は非常に大切です。
自分のステータスを可視化することで、離れて仕事する同僚や上司と連携が取れ、作業しやすくなるでしょう。
またスケジュールを事前に可視化しておくと、自分の稼働状況が客観視でき、スケジュール過多やダブルブッキングといった管理ミスを防ぐこともできます。
過度な監視を避けたいのであれば、まずは相手が監視する必要性を感じない程度に、自分をアピールしておきましょう。
映像監視が辛い場合、同僚とともに上司に提案してみるのもひとつの方法です。
言葉の選び方
コミュニケーションの手段がチャットやメールに限定される場合、液晶の向こうにいる「相手」を感じ取りにくくなります。
お互いに気持ちよく仕事をするためにも、相手の気持ちに配慮した言葉遣いを意識しましょう。
チャットやメールでの発言はログとして残るため、仕事に関係ない話題は極力避けることも大切です。
言葉を選んで発言すれば、相手を不快にさせません。これは相手からの暴言を避けることにもつながります。
また、自身が無意識のうちに加害者となるリスクも低減できるでしょう。
リモハラだと感じたら我慢しないですぐ動く
実際に自分が「リモハラを受けている」と感じた時には、どういった行動を取ればいいのでしょうか。
リモハラは加害者に自覚がなく発生することも多く、相手が認識を改めるだけで解決するケースがあります。
もし上司や同僚のリモハラ的な言動で精神的な負担を感じるのであれば、まずは相手にやんわりと「辞めてほしい」と直接訴えてみましょう。
それでも状況が変わらない場合、相手とのやりとりを記録に残すことが重要です。Webミーティングなら会話を録音したり録画したりするといいでしょう。
自分がどんな言動・行動によって精神的苦痛を受けたのか、第3者に証明できるように準備してください。
職場のハラスメント相談窓口や、労働基準監督署が設置している総合労働相談コーナーなどへ一度相談してみるのもよいでしょう。
以下は厚生労働省が開設している「あかるい職場応援団」のWebページです。ハラスメントに対する相談窓口や関連サイトのリンクを掲載しています。
まとめ
リモートワークが急速に普及する中で、「リモハラ」は社会的な問題になりつつあります。
快適に仕事を継続するためにも、リモート環境下で働く人はリモハラ対策への高い意識を持つようにしましょう。
リモハラは些細なことがきっかけで起こる可能性があります。自分は大丈夫、が通用しません。
自身が加害者にも被害者にもならないよう、どんなことがリモハラにつながるのかを十分把握しておきましょう。