Web会議が普及する中で、顔出しに抵抗がある人とない人がいます。理由はさまざまです。
顔出ししたくなくても企業側が顔出しを強制する場合、社員は明確な理由がない限り拒否できないといわれています。
今回は顔出ししたい人・したくない人の心理を明確にして、参加者が心地よくWeb会議に参加できるベストな方法を探ってみましょう!
顔出ししたい人としたくない人の違い
以下に株式会社産労総合研究所が2020年8月に実施した調査結果(20〜60代 男女200人対象)を引用しました。
モニターに自分の顔が映る、つまり顔出しに対して「いや」「どちらかというといや」と回答した割合は66.0%にのぼります。
では、相手の顔が映るのはどうでしょうか。
映るのは「いい」「どちらかというといい」と感じる人が64.2%。つまり、相手の顔は見えてほしいけれど自分の顔は見せたくない人が一定数いることがわかります。
Web会議で顔出しを推奨する人と顔出ししたくない人の考え方には大きな違いがあります。
まずは、顔出ししたい人としたくない人の特徴をそれぞれ確認してみましょう。
顔出しを希望する人の特徴
顔出しを希望する人の多くは仕事へのモチベーションが高く、Web会議を対面会議の代替えととらえています。
対面会議が基準にあるので、Web会議で顔出しをすることはあたりまえだと考える人も多いようです。
また自分をしっかりアピールしたり一緒に仕事をする人の顔と名前を把握したりするためにも、Web会議での顔出しは重要だと感じています。
特に管理職は、リモートワークでは分かりづらくなった部下の様子を少しでも正確に把握する目的で、顔出しを希望する傾向です。
Web会議に顔出しで参加すれば、相手の声だけでなく表情やちょっとした仕草から読み取れる情報も多くなります。
またWeb会議で顔出しをすると、対面会議同様に挙手でコミュニケーションがとれるため、スムーズな会議進行ができると考える人も多いようです。
顔出ししたくない人の特徴
一方、顔出ししたくない人はWeb会議の開催場所が自宅であることから、自宅の様子を画面上で共有したくないと感じるようです。
またWeb会議で顔出しをするために、わざわざメイクをしたり着替えたりする時間がもったいないと思う人もいます。
つまりリモートワークはオフィスとは異なる仕事環境であることから、Web会議で顔出しする必要性はないと考えるのです。
自分の積極性アピールよりもプライベートを守ることを優先したい人は、顔出しに消極的だといえます。
顔出しをした場合としない場合のWeb会議の効果検証
では実際にWeb会議で顔出しをした場合としない場合で、どのような違いがあるのでしょうか。
それぞれのメリットとデメリットをしっかり確認してみましょう。
顔出しをする場合
Web会議の顔出しにはメリット・デメリットがあります。まず、顔出しをするメリットをまとめてみました。
メリット
- 仕草や表情が共有できることから相手との信頼関係を築きやすい
- 多数決や発言の際に挙手などで視覚に基づいた判断ができる
- 発言していない人の参加状況も確認しやすい(勤怠管理がしやすい)
- 一緒に仕事している人の顔と名前を把握できる
- 誰がいつ発言しているのかが分かりやすい
デメリット
- 自宅の様子が映り込む可能性がある
- Webカメラの映し方や明るさ、設定を事前に調整する必要がある
- 身だしなみを整える必要がある
- ビデオカメラを設置することで監視されている気分になる人がいる
カメラオンで会議をすると通信量が増え、自宅のネットワーク回線では音声や画像が途切れてしまうことも。
顔出ししない場合
Web会議で顔出ししない場合のメリット・デメリットとして以下が挙げられます。
メリット
- プライベートの情報を守秘できる(部屋が汚くても、パジャマでも気楽に会議に参加できる)
- 相手に自分が見えないので、他作業をしながら会議に参加することもできる
- コミュニケーションの手段が声に限定されることから、必要最低限の会話で会議の生産性が上がる
デメリット
- 自発的に発言しないと、存在感がなくなる
- 発言する際に自分の名前を名乗るよう求められることがある(発言者が判りにくいため)
- 発言のタイミングが複数人で被る可能性がある
- 発言のタイミングをつかむのが難しい
企業が顔出しを強制した際の対処方法
顔出ししたくない人が企業から顔出しを求められた時は、どのように対応するのがベストなのでしょうか。
顔出ししなくてもWeb会議はできます。しかし企業側視点に立つと、顔出しする方がWeb会議のメリットが多いと考え、顔出しを強制する企業が少なくありません。
そこで、顔出ししたくない人が顔出しを強制された場合に、どのような解決策があるのかを探ってみましょう。
顔出ししたくない理由を明確にして、上司に相談する
顔出しにメリットを感じない人は、まず上司に顔出しをしなければならないのか相談してみましょう。
企業によっては顔出しを「強制」ではなく「推奨」とし、参加者の判断に任せるケースがあります。
顔出しをしたくない理由を明確に伝えられたら、Web会議の顔出し必須ルール自体も変えられるかもしれません。
どうしても顔出しを余儀なくされるのであれば、上半身全てではなく身体の一部を映せばOKなど、お互いの妥協点を探ってみることも大切です。
背景画面を設定して自宅が相手にみえないようにする
自宅や家族といったプライベートの様子が映ることを理由に顔出ししたくない人は、Webカメラ接続時に背景を設定するのはどうでしょうか。
背景画像を設定すると自分の顔や身体以外は画像でカバーされ、相手に見えません。つまり自宅の様子がカメラに映り込む心配がありません。
まずはWeb会議に背景を設定した状態で参加してもよいか、上司に確認してみましょう。
仕事のTPOに合わせた背景画像なら、要望が通るのではないでしょうか。
最近では企業名やロゴ入りの背景画面を作成して、Web会議を開催している企業・団体もあるぐらいです。
顔出しやカメラオンに対する抵抗感を下げる方法を考えてみましょう。
Webカメラの接続不良を訴える
上司に顔出しの相談する時間がとれないまま会議を迎えてしまった場合は、Webカメラの一時的な接続不良を訴えるのも手段の1つです。
顔出しする会議でも、「すみません、カメラが上手く作動しないので声だけで参加させてください」と伝えれば、例外的に顔出しなしで会議に参加できます。
ただ、毎回同じような理由で顔を出さないと、評価に影響がでたり接続不良に疑いがかかったりする可能性があるので、あくまで一時しのぎにとどめましょう!
「じゃあスマホで接続してください」と言われた経験があります……(編集部)。
まとめ
Web会議で顔出しをすべきかどうかという議論に正解は存在しません。
顔出しした方が企業にとってメリットがあれば顔出し参加、特になければ顔出し不要など、Web会議の基準は企業や参加者の考え方によってさまざまです。
普段リモートワークで顔を合わせないから、会議くらいはお互いに顔を見せて参加しようという理由で、顔出しを基本とする企業もあります。
まずは会議の目的をしっかり把握して、顔出し推奨に同意すべきかどうか、じっくり考えてみましょう。
顔出しのメリットやデメリットを把握した上で、やはり顔出しに賛成できないのであれば、上司に相談してください。
また、背景画像やフィルターの設定を許可してもらえたらWeb会議の顔出し参加に抵抗がなくなるのであれば、それを率直に提案してみるのも1つの方法です。