リモートワーク中、急ぎで取引先に確認したいことがある。今すぐ電話で!
こういった場面で電話をかけるとしたら、どの電話を使いますか? 通話料は誰が支払いますか? そもそもいくらかかるのか把握していますか?
リモートワーク中の電話代が自己負担となり、請求額が数万円にのぼるケースがあるようです。
今回は電話代のなかでも「通話料」の相場や自己負担の軽減策、自身の電話を使うリスクなど幅広くご紹介します!
リモートワークの電話代は誰が負担するのか
仕事の電話をかける際、会社から携帯電話を貸与されている場合は当然、通話料を負担するのは会社です。
また、会社でクラウドPBX※1を導入しているのであれば、専用アプリまたは登録端末を使った通話で自己負担は発生しません。
フリーランスは(特殊なケースを除いて)基本的に自己負担です。みなし法人として電話回線を契約している場合は「仕事用の電話」を使う人もいますが、お金の出所は自分自身です。
では、社用携帯の貸与がなく、特殊なシステムも導入していない企業の社員はどうでしょうか。
ご自身の携帯電話・固定電話を使った場合の通話料は、社員の自己負担となるケースが多いようです。
※1:クラウドPBX:設定済みの端末から会社の電話番号での発着信ができ、内線通話も可能。従来オフィスにあった電話交換機のクラウド版。
会社員は会社負担…とは限らない!
「他社は社用携帯を支給されているんだ、うちの会社だけ……」ということはありません! 実はリモートワーク中の電話代(他の通信費含む)を負担しない会社のほうが多いのです。
上のグラフは、日本労働組合総連合会が2020年6月に行った『テレワーク時の使用機器と費用補助について』の結果です。
無線LANや携帯電話の使用料・通信料を全額あるいは一部会社が負担している割合は20%とのこと。一方、自己負担の割合は66%にのぼります。
フリーランスの筆者は「会社員=社用携帯」のイメージを持っており、リモートワークに移行したら携帯が貸与されるものだと思い込んでいましたが、実態は違うようです。
フリーランスはどうしている?
フリーランスは当然自己負担です。
ただし、「架電」業務を行っている場合はクライアント負担ですし、クライアントから携帯電話を貸与されることもあります。
チャットツールの通話機能を使えばアプリを通じて携帯から電話がかけられ、通話料はかかりません。しかし相手がPCを使っていると即座に応答できないこともあります。
そのためチャットツールは使わず、自身の携帯電話を使う方が多いようです。
平均的な通話料をご存じですか?
「今月スマホで何ギガ使ったか」「請求はいくらか」は確認しても、通話料まで毎月確認していますか?
最近はLINE電話を使う方が多く、通話料が発生しないこともあります。
もしも固定電話・携帯電話の通話料が自己負担になる場合、どの程度の料金がかかるのでしょうか。
固定電話から発信
- アナログ回線→区域内:4円/分
- アナログ回線→60km超え:45円/分
- アナログ回線→携帯電話:17.6円/分
- ひかり電話→携帯電話:17.6円/分
2021年10月に固定電話→携帯電話の通話料が値下げされ、ひかり電話→携帯電話と同額になりました。それでも固定電話間の通話料に比べると高額ですね。
固定電話間でも、遠距離の取引先に電話をかけるとかなり高額です。10分の通話で450円、日替わりランチが食べられますね……。
深夜帯なら安く抑えられますが、仕事に使うことを考えると現実的ではありません。
携帯電話からの発信
- 固定電話:40円/分
- 携帯電話:40円/分
- IP電話:4円/分
携帯→固定電話、携帯→携帯の通話料は同額の場合が多いようです。10分間で400円、決して安いとはいえません。
近年は固定電話を持たないご家庭が増えていますし、仕事部屋に固定電話が置いてあるとも限りません。リモートワーク中は、サッと手に取れるご自身の携帯を使う方が大半ではないでしょうか。
1回あたりの通話時間は数分だとしても、積み重なればかなりの負担額です。
携帯電話 or 固定電話、相手によって使い分ける必要がありそうですね。
電話代の個人負担を減らす方法
個人の電話を仕事で使う場合、通話料をできるだけ安く抑えるにはどうすればよいのでしょうか。
筆者が採用している方法も交え、いくつかご紹介します!
自分の携帯を使う場合
リモートワーク中頻繁に電話をかける方は、定額料金のみで通話料が「かからない」方法を探しましょう。
電話をかけることはあるものの頻度が低い、という方は低料金の通話アプリがおすすめです。
携帯電話の契約プランを見直す
いわゆるガラケーが主流だった時代、「かけ放題プラン」はどの通信会社でも販売されていたものですが、最近は無料通話アプリが増えたためか姿を消しつつあります。
プランはなくなっても需要は残っているのでしょう。月2,000円ほどで国内通話が無料になるオプションを、各社が用意しています。
オプションの多くが月額支払いで、通話料が完全無料のプラン、無料通話時間が決まっているプランなどさまざまです。
- 月〇円で国内通話24時間無料
- 月〇円で、1回〇分以内の国内通話が24時間無料
- 月〇円で、1か月〇時間までの国内通話が24時間無料 等
使用頻度によってベストなオプションを探してみてください!
新たにスマホを契約して使う
リモートワーカーは自宅でWi-Fiを使っている方がほとんどでしょう。
その分、スマホの契約通信量を少なくして料金を抑えることができます。とはいえ、通話料は別!
そこでおすすめなのが、無料通話アプリです。
たとえば楽天モバイルでは「Rakuten Link」という無料通話アプリが使えます。
- 相手が携帯でも固定電話でも通話料無料
- 相手がアプリを持っていなくてもOK
- アプリ固有のIDではなく自身の電話番号で発信
余っているスマホや1円スマホを使って最安値のプランに加入し、無料通話アプリで電話をかければコストを下げられます。
有料の通話アプリを使う
無料の通話アプリはお互いが同じアプリを使う必要がありますし、電話番号ではなくIDの交換が求められるためビジネス向きではありません。
一方、有料の通話アプリの多くはご自身の携帯電話番号を使って発信でき、着信相手は固定・携帯問わないものがほとんどです。
有料通話アプリのひとつ、「LINE Out」を例にとってみます。
- 月〇円で、1か月〇時間まで通話可能
- コールクレジット(チャージ制)相当分の通話が可能 等
プランが細かく設定されているため、使用頻度に合わせて無駄なく使えるのがLINE Outの大きなメリットです。
例えば、国内の固定・携帯電話との通話1時間まで月390円というプランがあります。一般的な携帯発信の6分の1程度で済むわけです。
指定回数・指定時間の通話が無料になる「LINE Out Free」も付帯します。これを加味すると、実質の通話料はさらに安く上がりますね!
なおLINE Out FreeはLINE Outを使っていない方でも使用できます。
またWeb会議でおなじみの「Skype」にも有料通話プランがあります。こちらは100分で月570円。Line Outより安く、固定電話間の通話に迫る低料金です。
家の電話を使う場合
固定電話を設置しているご家庭では、固定電話をIP電話に変更すると通話料が抑えられます。「IP電話」と聞くと特別なもののようですが「ひかり電話」もIP電話のひとつです。
IP電話は通話料が安く、電話番号がずっと変わらないのがメリットですが、自宅にインターネット回線を引いていなければ使用できません。
逆に、インターネット回線があるならIP電話の設置はスムーズですし、IP電話・インターネット・スマホといった通信系サービスをセットで契約すると割安なこともよくあります。
※なお、2024年から固定電話は全てIP電話に切り替わる予定です。
個人の電話を使うデメリットは費用以外にも
通話料は工夫次第で安く抑えられることがわかりました。
しかし、費用を安く抑えられたとしても、個人所有の電話を仕事で使わない方がいいかもしれません。
それには理由があります。
電話を取ってもらえない可能性がある
連絡先(電話帳)に登録していない番号から着信があると、怪しい電話ではないかと身構えてしまうのは筆者だけではないはずです。発信側の電話番号が非通知になっていると、自動的に着信が拒否されてしまうことも。
筆者はチャットで自分の電話番号の下4桁を伝えてから、電話をかけるようにしています。
電話営業が増える可能性も
電話番号リストを販売する業者に番号が渡ると、不動産投資や資産運用などの電話営業が一気に増えるかもしれません。
営業ならまだしも電話番号が何に使われるかわからず、悪用されるリスクも伴います。
時間を問わず電話がかかってくる
会社の営業時間を過ぎていても、個人の電話ならつながります。
「急ぎで確認したいことが」「どうしてもお願いが」という時間外の電話が徐々に増えていくかもしれません。
経費請求が煩雑になる
プライベートの電話を仕事でも使っていると、経費精算が難しくなります。
筆者はスマホの通話記録を確認し、仕事の電話とそうでない電話を分別して経費としたことがありますが、かなり骨の折れる作業でした。
電話番号は個人情報に含まれないとはいえ、取扱いには注意したいですね。
会社に相談するのもアリ
通話料を自己負担している会社員は、毎月の通話料を記録し、上司に相談してみてはいかがでしょうか。
今後もリモートワークを継続していく企業なら、クラウドPBXや携帯の貸与といった対応を検討している可能性はあります。
この場合は一時的な自己負担と考え、初期費用をかけずに通話料を抑えるプリペイドやかけ放題オプションがおすすめです。
リモートワークは継続するものの通話料負担(一部補助)の予定がないなら、初期費用や手間がかかっても通話料対策を早めに始めるべきでしょう。
不安を払拭して仕事に集中!
取引先に電話をかけるたびに「通話料が……」「3分で終わらせたい……」とそわそわしていると、仕事の効率は下がってしまいます。
とはいえ、相手に「通話料がかかるのでLINE交換しませんか」とはなかなか言い出しにくいもの。
通信環境が整っている今、インターネットを使った通信・通話は比較的安価です。
自己負担せざるを得ない状況であれば、まずは通信環境を整えるところから始めてみてはいかがでしょうか。