仕事中に突然眠くなってしまったとき、あなたはどのように対処していますか?
ガムを噛んでみたり、顔を洗ってみたり、生活習慣そのものを見直そうと一念発起して睡眠時間を多めに確保してみたり……。
もちろんこうした方法で効果を実感しているかたはいらっしゃるでしょう。
実は……これら以上に効果的なのが「昼寝」です!
ただし昼寝は、取り入れ方を間違えると効果が薄れてしまいます。
一休みするつもりでベッドに入り、目が覚めたら2時間経っていた! なんてことにもなりかねません。
誘惑の多い自宅で仕事をするフリーランスだからこそ、昼寝を正しく活用しましょう。
今回は効果的な昼寝の仕方や、昼寝をするときの注意点などをご紹介します。
厄介な「昼食後の眠気」
仕事中に眠気を感じるのは昼食をとったあと、午後の早い時間帯が多いのではないでしょうか? これには理由があります。
- 食後の血糖値変動
- 生理現象
- 睡眠負債
昼食後、私たちの身体にはどんな変化が起きているのか、確認してみましょう。
食後の血糖値変動
食後の血糖値変動が眠気の引き金になることがあります。
短時間に多くの糖質を摂取すると血糖値は急上昇し、その後急降下します。こうした血糖値の乱高下が、からだの怠さや眠気を引き起こすといわれているのです。
「お昼に甘いものなんて食べていないのに?」と思うかもしれませんが、糖質=お砂糖ではありません!
実はファストフードやコンビニのお弁当などに、多くの糖質が含まれています。
自宅で仕事をしていると、昼食を適当に済ませてしまうことも多いのではないでしょうか。
以前は筆者も、カップラーメンや菓子パンなどをよく食べていました。しかしこうした「手軽に食べられるもの」には、糖質が多く含まれているのです。
生理現象
人間に備わった生理現象のひとつ、「睡眠と覚醒のリズム」も昼間の眠気の原因です。
人が起きている間、脳は働き続けています。当然疲労が蓄積し、これを回復させるために脳は「休息を取りたい!」と要求します。このタイミングで眠気を感じるのです。
タイミングはいくつかありますが、そのうちのひとつは起床してから8時間後、昼食をとったあとの時間帯に訪れます。
たとえば朝5時に起床した場合は午後1時前後、6時に起床した場合は午後2時前後に眠くなるということです。
睡眠負債
「睡眠負債」も日中に眠気を感じさせる原因のひとつです。
睡眠不足が続くと眠気はどんどん蓄積されていきます。これが睡眠負債です。
睡眠負債そのものが「昼食後の眠気」に直結するわけではありません。血糖値変動や生理現象による眠気に拍車を掛けるのです。
フリーランスは会社員のような定時がなく、夜遅くまで制限なく働けてしまいます。本業を終えてから仕事する副業フリーランスも同様です。
こうした働き方では生活リズムが乱れやすいため睡眠負債を抱えやすくなり、昼食後の眠気を感じる人が多いかもしれません。
午後からの眠気を乗り切る方法
昼食後に眠気を感じるのは仕方のないこと……。とはいっても、仕事には影響が出ないようにうまく対処したいものです。
「昼食後の眠気」を解消するには、昼寝が効果的だといわれています!
『昼寝』『おひるね』……とっても魅力的な言葉ですね。昼寝がどのような役割を果たすのか、ご紹介します。
- 長過ぎNG!短い昼寝を積極的に
- 昼寝は仕事の効率も向上させる
ポイントは「短く」「積極的」な昼寝
昼食後の眠気の解消には短めの昼寝がおすすめです。
アメリカの社会心理学者ジェームス・マース氏は、昼間の短い睡眠を「パワーナップ※」と名付けました。日本語では積極的仮眠と訳されます。
「積極的」という名のとおり、意図的に昼寝をとることが重要です。
うたた寝や居眠りのように無意識のうちにとる睡眠とは異なり、積極的仮眠はポジティブな効果が得られます。
※参考:Miracle Sleep Cure: The Key to a Long Life of Peak Performance|James B. Maas
昼寝の効果
短い昼寝による効果は眠気の解消だけにとどまりません。以下のような嬉しい効果も期待できます。
- 集中力がアップする
- 気分が改善される(イライラしない、感情のコントロールができる)
- 判断力がアップする
20分程度脳を休めることで、頭の中の情報が整理されます。たったこれだけで脳がリフレッシュでき、仕事のパフォーマンス向上にも繋がるのです。
効果的な昼寝のポイント
「眠ければ寝ればいいのか!」ということではありません。まだベッドに向かわないでください!
昼寝をより効果的なものにするために押さえておきたいポイントがあるのです。
冒頭でも触れたとおり、自宅には心地よい睡眠への誘惑が溢れています。昼寝のつもりが「長時間の睡眠」にならないよう、ここでご紹介するポイントをしっかり覚えておいてくださいね。
- 時間:昼食後〜15時までの15〜20分程度
- 環境:リラックス重視
- 体勢:座ったままがベスト
昼寝の時間
おすすめの時間帯・昼寝の時間は以下のとおりです。
- 時間帯:昼食後〜15時頃まで
- 時間:15〜20分程度
人は眠っている間に、睡眠が浅い状態(レム睡眠)と深い状態(ノンレム睡眠)を繰り返しています。
入眠直後はレム睡眠〜比較的浅いノンレム睡眠の状態です。眠りが浅いうちに昼寝を切り上げれば、スッキリ目覚めることができます。
昼寝を始める前に必ずアラームをかけ、長く寝過ぎないようにするのがポイントです。
昼寝をする環境
自分がリラックスできる環境を作ることが重要です。
自宅で仕事をしているなら、電気を消したりカーテンを閉めたりして部屋の中を薄暗くしましょう。
カフェやコワーキングスペースなど自分で明るさを調整できない環境にいる場合は、アイマスクで光を遮断するのもひとつの方法です。
音は自分の好みに合わせて調整してください。
自宅にいる家族の生活音が気になる、カフェやコワーキングスペースの騒音が気になる、という場合には、ヘッドフォンで音を遮断するのもおすすめです。
おすすめの体勢
パワーナップでは、からだを横にせず座ったままの体勢で昼寝することが推奨されています。
寝転がってしまうと深い睡眠に入りやすく、寝過ぎる可能性があるからです。
- 机に突っ伏す
- 椅子の背もたれに寄りかかる
ベッドやソファに横たわるのではなく、たとえば作業スペースやデスク周りで昼寝してみましょう。
首の痛みが気になる人は、ネックピローなどのアイテムを使うことでより快適に昼寝ができます。
また最近はうつ伏せ寝専用の「パワーナップピロー」も販売されています。
場合によっては横になってもOK
アラームの音ですぐに目が覚めるなら、からだを横にしても問題ないでしょう。
また短時間では眠れない場合、横になってからだを休めるほうがラクになるかもしれません。
足をまっすぐに伸ばした体勢を取ることで血流が良くなり、より高いリラックス効果・疲労回復効果が見込めますよ。
昼寝の効果をさらに高める方法
環境も時間帯も体勢も整えたにもかかわらず、昼寝から目覚めると怠かったり二度寝してしまったり、そもそも眠れない人もいます。
昼寝の時間をより良いものにするために、以下を取り入れてみてはいかがでしょうか?
- 昼寝前にカフェインを摂取する
- 眠れないなら目をつむる
- 寝起きに刺激を与える
いまよりも質が高い昼寝をしたい!という人におすすめの方法です。
カフェインを摂取する
目覚めが悪いなら、昼寝前にカフェインを摂取しておきましょう。
カフェインには覚醒作用があるため、夜眠る前の摂取は避けた方がよいとされています。
しかし昼寝前の摂取はかえって効果的!
カフェインの覚醒作用は、からだの中に取り入れてから20〜30分程度であらわれます。
つまり昼寝前にカフェインを摂取しておけば、お昼寝アラームが鳴るころに覚醒作用があらわれ、集中力アップが見込めるのです。
眠れないときは目をつむる
眠れないなら、目をつむって休むだけでも十分効果があります。
筆者は昼寝が苦手。「寝よう」と意識すると目が冴えてしまい、日中はなかなか眠れません。
同じようなかたもいるでしょうし、そもそも昼寝できる環境が整っていない場合もあるでしょう。
そんなときは無理に眠ろうとせず、目をつむったままゆったりと過ごしてみてください。
視覚情報がシャットアウトされることで脳の活動が抑えられ、これだけでも十分休息がとれます。
寝起きに刺激を与える
昼寝を終えたら、軽いストレッチをしてください。
スペースが限られる場合は、冷たい水で顔を洗ったり、温めたタオルで顔を拭いたりしてもよいでしょう。
大切なのは、刺激を与えること! これによってスッキリ目が覚めます。
昼寝の注意点
せっかくポイントを押さえて昼寝をしても、以下の注意点を守らないと効果が半減してしまうかもしれません。
- 長く寝過ぎるのはNG
- 昼寝は15時までに終わらせる
これらを守って効果的なお昼寝タイムを確保しましょう。
長く寝すぎるのはNG
昼寝の時間が長過ぎると逆効果です。
30分以上眠ると、ノンレム睡眠の中でもより深いステージへ移行し始めてしまいます。
その結果寝起きが悪くなり、目覚めたあとも頭がぼーっとしたり、倦怠感が続いたりするのです。
昼寝は15時までに終わらせる
昼寝は遅くとも15時までには終わらせましょう。それ以上に寝てしまうと、今度は夜の睡眠に影響を及ぼします。
午後からのパフォーマンス向上を目指すための昼寝は、早めの時間帯に終わらせることが重要です。
昼寝=サボりではない!
仕事の途中に昼寝をしていると、なんとなくサボっているような感覚になったり、後ろめたさを感じたりするかもしれません。
オフィス勤務をしている場合、人目のある場所で昼寝をするのはなかなか難しいでしょう。
しかしフリーランスなら、他人の目を気にせずに昼寝できます。
仕事が捗らない……集中力が切れてきた……と感じたときには、一度手を止めて昼寝をしてみてください。
たった15〜20分程度の昼寝が、その後の仕事の効率を大幅にアップさせてくれることでしょう。