フリーランスという働き方について、あなたはどのようなイメージを持っていますか?
筆者は、会社員と比べて自由度が高い反面、安定性の面では非常にリスキーな働き方だと捉えています。
だからこそ憧れの気持ちだけで独立を決めてしまうと、自由な働き方を満喫するどころか苦しいだけの日々になりかねません。
今回は独立を目指す副業フリーランスに向けて、フリーランス生活の基盤の整え方やリスク回避の方法をご紹介します。
独立に向けた準備-仕事編-
副業フリーランスの強みは、本業の収入で生活を安定させながら独立の準備とじっくり向き合えること。
この期間中にまず取り組むべきことを3つピックアップしました。
スキルアップ
未経験から独立を目指す場合、まずはスキル獲得や知識習得から始めなければなりません。
- 本を買って勉強する
- オンラインスクールやセミナーで勉強する
- とにかく数をこなしながらスキルを磨く など
この期間、報酬はほぼ見込めません。
だからこそ本業の安定収入がある、つまり副業で稼げなくても生活できるうちに、徹底的にスキル磨きをしておくことをおすすめします。
複数クライアントとの契約
複数クライアントとの契約は、リスクヘッジのために欠かせないこと。
フリーランスの契約は永久ではありません。
もしかしたら明日、突然仕事がなくなる可能性だってあるのです。
だからこそ、もし契約が突然打ち切られても困らないように、複数のクライアントと契約しておくことが重要です。
貯金
本業と副業、ふたつの収入源があれば金銭面では少し余裕ができるはずです。
独立を目指す気持ちがあるなら、余裕が出た分を全て貯金に回してください!
ここで蓄えた分が、独立後の生活を支えてくれます。
独立に向けた準備-手続き編-
フリーランスの場合、「自分の身は自分で守る」「自分のことは自分でやる」が基本です。
独立前に正しい知識をつけておき、いざ独立したあとに抜け漏れがないようにしましょう。
社会保険
会社員の場合、社会保険の手続きは入社時に会社側が進めてくれることがほとんどです。
保険料の支払いも給料からの天引きなので、面倒な手続きは一切ありません。
しかしフリーランスの場合、これらの加入手続きも月々の支払いも、全て自分で行う必要があります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
万が一の備え
会社員には、雇用保険など複数の備えがあります。
たとえば退職後の転職活動中に失業保険がもらえたり、産休・育休中に手当がもらえたりするのも、全てこれらの備えがあるから。
しかしフリーランスにはこうした備えがありません。
やはりここでも自分の身を守れるのは自分だけ、というわけです。
- もし契約が途切れたら?
- もし妊娠・出産したら?
- 病気や事故で入院することになったら?
こうした「もし仕事がなくなったら?もし働けなくなったら?」というネガティブな可能性を事前に想定し、備えておくことが大切です。
確定申告
会社員は毎年年末が近づいてくると、年末調整用の用紙記入を求められるのではないでしょうか?
記入して提出するだけで、その他の面倒な手続きは会社が全て進めてくれます。
※会社からの給与以外の収入がある場合や、はじめて住宅ローン控除を受ける場合など、個人による手続きが必要なケースもあります
しかしフリーランスは、それらの手続きも全て自分で行わなければなりません。
それに加えて、フリーランスは売上や経費の計算も自己管理。
非常に面倒ですが、確定申告の時期に慌てなくて済むよう、管理方法をあらかじめ検討したり、確定申告についての知識をつけたりしておきましょう。
フリーランスとしての所得が20万円を超えたら確定申告が必要!本業を辞めて独立する前に、一度は経験しておくと安心です。
独立に向けた準備-本業との両立編-
本業の傍らで独立の準備を進めるのは、なかなか大変なこと。
筆者も2年半ほどの兼業期間を経て独立したので、その大変さは既に体験済みです。
あくまでもひとつの例ですが、筆者が本業と副業をどうやって両立していたか、ご紹介します。
作業時間は可能なかぎりたくさん作る
会社には、仕事を教えてくれる上司がいます。
オフィスで一緒に働けば、そのやり方を見ながら学ぶこともできます。
もしかすると入社時に、基礎的な研修がおこなわれることもあるでしょう。
- 上司に教わる
- 一緒に働く人を見て学ぶ
- 入社時の研修で基礎を理解する
- 仕事の一環として給料が支払われる
しかしフリーランスの場合、こういったものは一切ありません。
- 自分で勉強して磨く
- クライアントから受けるのはルールの共有程度
- 報酬ゼロ
仕事の進め方やクライアント独自のルールを共有するための研修はあるかもしれませんが、仕事を受注する上で欠かせない基礎的なスキルについては、自分で勉強して磨かなければならないのです。
筆者もWEBライターとして初めて案件を受注したときに、入稿の仕方や細かなルール(語尾の指定やNG表現など)を教わる研修は受けたものの、基本的な文章の書き方は教わりませんでした。
また、勤務時間内に研修を受けられる会社員とは異なり、フリーランスのスキル磨きや勉強時間には当然ながら報酬など出ません。
つまり駆け出しの頃は「お金にならない時間がかなり多い」ということ。
だからこそ、本業の前後や休日など可能な限りたくさんの時間を副業に費やすことが大切です。
- 休日のほぼすべての時間を副業にあてる
- 平日の通勤時間や休憩中など隙間時間を活用
筆者はWEBライターを始めた頃、食事やお風呂などを除き休日のほぼ全ての時間を副業に費やしていました。
さらに通勤中や休憩中など、本業がある日も隙間時間を有効活用。
クライアントとのやり取りや執筆に必要なリサーチ、構成作りなど、できる範囲のことはどんどん進めていました。
「お小遣い稼ぎができればいい」という人はマイペースに進めてもいいと思いますが、独立という目標があるなら最初の踏ん張りが肝心です。
タイムマネジメント能力・自己管理能力を磨く
副業にたくさん時間を割く必要はありますが、本業とのバランスを考えることも重要です。
- 副業のために夜更かしをしすぎて本業に遅刻
- 副業を頑張りすぎて体調を崩し本業を休む など
このように、本業に影響が出る働き方をしてはいけません。
ただ、案件の詰め込み過ぎはもちろん避けるべきですが、反対に案件数をセーブし過ぎるのも良くないと考えています。
- 複数クライアントとの契約はフリーランスのリスクヘッジに有効
- 複数案件同時並行のほうが効率良く実績が積める
こうした理由から、本業に支障が出ない範囲の中で最大限に作業時間を増やし、案件を確保していく必要があります。
そのためには現在抱えているタスクをきちんと把握し、納期までに漏れなくこなす、タイムマネジメント能力・自己管理能力も磨かなければなりません。
この能力は独立後も大いに役立つため、兼業期間中に磨いておくことをおすすめします!
いざ独立へ!決断するときのポイント
本業の辞め時を間違えると、それまでの準備が全て水の泡になりかねません。
筆者の経験も交えながら、「本業を辞めるタイミング」について考えてみます。
フリーランスの収入額で考える
会社員は毎月固定の給与がありますが、フリーランスは受注した案件数や単価によって収入が変動します。
つまり、単月の売上が仮に会社員の給与を大幅に超えたとしても、それが翌月以降も継続できるとは限らない、ということ。
→退職手続きが完了した翌日、クライアントから契約解除の連絡を受けてしまう。
「本業より稼げるようになった!よし、明日から独立だ!」とその場の勢いだけで突き進んでしまうと、翌月以降フリーランスの仕事が減って生活が苦しい……なんてことになる可能性もあります。
生活できるだけの収入を数ヶ月連続で得られるようになることが、独立を考えるひとつのタイミングです。
ただし気をつけなければならないのは、「本業の手取りと同じ額」だと少ない、という点です。
- 会社員の給料:税金・保険料・年金などを引いた金額を受け取る
- フリーランスの報酬:契約通りの金額を受け取り、税金や年金などは自分で支払う
会社員の場合、税金や保険料・年金などすべて引かれて手元に入ります。
しかしフリーランスは、受け取った報酬から税金などを後から自分で納めなければなりません。
つまり本業の手取り額と同じだけ稼いでも、実際手元に残るお金はそれより少ないのです。
収入を基準に独立のタイミングを決めるなら、このことを念頭に置いておきましょう!
貯金額で考える
先述したとおり、フリーランスの収入は不安定。
もしかしたら明日、突然仕事がゼロになる可能性もあります。
すぐに新たな仕事が見つかればいいですが、それも叶わず、しばらく仕事のない(つまり収入がない)状態が続くかもしれません。
そうなったときでも、もちろん頼れるのは自分だけ。
万が一に備えて、自分の生活を維持できるだけのお金は確保しておく必要があります。
本業があって収入が安定しているうちに、可能な限り貯金をしておきましょう。
リスクへの備えも、独立には欠かせません。
焦らない!決断する前にしっかり立ち止まって考えて!
本業を辞めて独立するタイミングについて説明してきましたが、とにもかくにも焦りは禁物!
単価アップや案件の増加で収入が増えてくると、「もっと時間が欲しい」「本業の時間がもったいない」と感じることがあるかもしれません。
そうなるとつい「もう本業は辞めてしまおう!」と勢いよく独立したくなるもの。
ですがそんな時ほど、必ず立ち止まってよく考える時間を作ってください。
焦って独立を決めても、失敗するリスクが高まるだけです。
準備にじっくり時間をかけられるのは、収入が安定している副業フリーランスだからこそ。
その強みを最大限に利用して、徹底的に独立後の生活基盤を整えておきましょう。
筆者の場合
筆者は2021年3月に本業を辞めて独立しているのですが、実は後悔している部分もあります。
最初に独立を検討したのは、副業フリーランスを始めて1年ほど経った頃。
以下の理由から、本業を退職する意向を固めていました。
- ライターの仕事だけでなくディレクター業務も増えて忙しくなってきた
- 新しい依頼が入っても本業を理由に断ることが増えてもどかしいくなってきた
- 既存案件報酬+断った新規案件報酬→本業の給与に近い額!
結果的には、このタイミングでの独立は見送りました。
その後コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて本業が減り、副業に費やせる時間が大幅に増えたことで、フリーランスとしての状況も大きく変化。
- ライターの仕事を増やし、複数クライアントとの契約ができた
- ディレクター業務で昇格し、報酬の増額が見込めた
フリーランスの仕事が増えるに連れ「もっと稼働時間を増やしたい!」という気持ちが強くなっていきました。
この時点でのフリーランス収入は、本業の手取りをやや下回る額。
本来であれば独立を見送った方が良いタイミングだったのですが、当時の筆者はそこまで考えが及ばず、本業の退職と独立を決断。
幸い会社員時代の貯金(無収入でもおそらく半年は生活できる程度)があったため生活に困ることはありませんでしたが、まさに「1番やってはいけないパターン」での独立だったわけです。
これから独立を目指す人は筆者と同じ失敗、同じ後悔をしないためにも、とにかく「やりすぎだろう」と感じるくらい徹底的に準備をしてください。
繰り返しますが、勢いよく独立を決断するのは危険です。
たっぷり時間を使って独立の準備を進めてくださいね。
小さな努力の積み重ねが独立への近道
煌びやかでかっこよく見えるフリーランス。
筆者も、副業フリーランスを始めるまではそう感じていました。
しかし実際には、地道な努力や諦めずに食らいつく根性が必要で、イメージとは正反対の泥臭さがあります。
本気でフリーランスを目指すなら、それなりに覚悟が必要。
初めはうまくいかなくても、真剣に向き合ってがむしゃらに努力すれば、独立というゴールへ着実に近づくことができますよ。