食事をしたり、お風呂でリラックスしたり、家族団欒を楽しんだり……。
仕事以外のプライベート時間を過ごす自宅では、多くの人がスイッチをオフに切り替えています。
しかしリモートワーク、そのなかでも自宅で作業をする場合、本来スイッチオフの状態で過ごす場所にいながらスイッチをオンへ切り替えなければなりません。
今回は現役リモートワーカーの筆者の体験も交えながら、自宅でオンオフを切り替えるコツをご紹介します。
リモートワークの現状
「テレワーク・リモートワーク総合研究所(テレリモ総研)」(LASSIC運営)ではリモートワーク経験のある男女1,077名を対象に、リモートワークの実態アンケート調査を行いました。
以下のグラフは「リモートワークの悪い点」に対する回答をまとめたものです。
画像出典:テレワーク・リモートワーク総合研究所
これを見ると、多くのリモートワーカーが自宅でのオンオフの切り替えに悩んでいることがわかりますね。
しかし彼らは不真面目なわけではなく、適切なオンオフの切り替え方法を知らないだけ。
つまりこの悩みは、自分に適したオンオフの切り替え方さえ身につけてしまえば簡単に解決できるということです!
オンオフの切り替えに特別な才能は必要ありません。小さな心掛けひとつで、誰もが快適にリモートワークできるようになるのです。
まずは仕事スイッチを入れよう
スムーズなオンオフの切り替えには、いくつかのステップがあります。
まずは始業前にどうやってスイッチをオンの状態に切り替えるか、そのコツをご紹介します。
運動をする
軽い運動をして心拍数を上げることで、人は緊張状態に入ります。この適度な緊張感こそ、オフィスでの勤務と同じ状態を作り出す重要な要素なのです。
オフィス勤務の場合、「通勤」という運動を無意識のうちに行っています。例えば自宅から最寄り駅までの移動はもちろん、満員電車内で立っているだけでも立派な運動です。
こうした軽い運動によって活動に適した心拍数まで無理なく上がっていき、オフィスに到着した頃には自然と「仕事モード」に切り替えられていることが多いのです。
通勤の必要がないリモートワークでは、意識的に運動を取り入れることで心拍数を上げ、身体が活動に適した状態にする必要があります。
ちなみに筆者は毎朝ラジオ体操をしてから仕事を始めています。適度に心拍数が上がりますし、1回あたり3分程度で終わるのでお手軽ですよ!
コーヒーを飲む
コーヒーに限らず、カフェインを含む飲み物はオンオフの切り替えに最適!
眠い時にカフェインを摂取する人がいますが、これはカフェインに覚醒作用があるためです。仕事モードへの切り替えには、この覚醒作用が役立ちます。
飲むと脳がスッキリするので、寝起きが悪い時やなかなか目が冴えない時にもぴったり。
筆者は物心ついた頃から朝型人間で寝起きもかなり良い方ですが、「これから仕事だ!」と気合を入れるために毎朝コーヒーを飲んでいます。
毎朝のルーティンになると、「コーヒーの香りを嗅いだら仕事が始まる!」と自然な切り替えができるようになりますよ。
身だしなみを整える
オンライン会議がなければ誰とも顔を合わせることがないリモートワーク。
自宅なら身だしなみを整える必要がないので朝ギリギリまで寝ていて、時にパジャマを着たまま仕事を始める……なんてこともあるでしょう。
しかしパジャマ姿だと脳がリラックスモードと認識しかねず、そうなると当然ながらオンオフの切り替えはできません。
たとえ手間でも、服装を変えるだけでスイッチをオフからオンへ自然に切り替えることができます。女性なら、ヘアアレンジやメイクをするのも良いでしょう。
外出する時と同じ状態にすることでいまはリラックスタイムではない!と認識でき、仕事にも集中できるようになります。
メガネ→コンタクトレンズに変えるだけで仕事モードがオンになる人も。
仕事中にスイッチオフにならないための工夫
自宅での作業は、誘惑がいっぱい!
始業時にスイッチをオンにできたとしても、油断は禁物です。様々な誘惑に釣られて、知らぬ間にスイッチが切れそうになっていた!なんてことも……。
スイッチの切り替えと同じくらいハードルが高いスイッチオン状態の維持ですが、コツさえ掴めば誰でも簡単にコントロールできるようになりますよ。
音楽をかける
仕事中に周りを気にせず音楽を聴けるのは、リモートワークならでは!
「音楽をかけると集中力が削がれてしまうのでは?」とネガティブに捉えられがちですが、うまく活用すればやる気を引き出すことが可能です。
例えばスポーツ選手。試合前に音楽を聴いて、集中力を高める姿を見たことがある人も多いでしょう。つまり集中力を高めたいなら、自分にとっての勝負曲をかければいいのです。
ただし歌詞が入った曲を聴くと、自然と耳が歌詞を聴き取ろうとするため、かえって集中力が削がれてしまいます。
勝負曲は「集中したい!」と思ったその瞬間にだけ聴くようにしましょう。
もし音楽をかけ続けたいなら、歌詞が入っていない曲がおすすめです。
実は無音の状態より、少し雑音がある環境の方が集中しやすいこともあります。リビングやカフェ、ファミレスで勉強や仕事をすると「捗るな〜」と感じることがありますが、雑音のおかげなんです。
オフィスでの作業に慣れている人にとっては適度な雑音が集中力を持続させ、スイッチオンの状態をキープするきっかけになるかもしれません。
定期的な休憩
いやいや、言われなくても休憩くらい取っているよ!と感じるかもしれませんが、実はリモートワークにおける定期的な休憩は想像以上にハードルが高いもの。
オフィスにいると、会議室へ移動したりコピー機のところまで歩いたり、自動販売機で飲み物を買ったりタバコを吸ったり…と、想像以上にデスクに座っていない時間が多いことがわかります。
実はこのちょっとした時間が、知らぬ間に「オンオフの区別をつけること」に役立っているのです。しかしリモートワークになると、このような時間が極端に減ります。
つまり意識してオフの時間を確保しないと、しっかり休憩が取れない=スイッチが切れ、業務終了まで集中力を維持できないということ。
これを防ぐために、リモートワークでは定期的な休憩を取りましょう。
筆者はこうした時間を確保するために、あえて小さなカップに飲み物を入れてデスクに置いています。
飲み物がなくなれば、部屋を出て台所まで補充しに行かざるを得ません。こうした短時間の休憩が、自然なオンオフの切り替えに役立っています。
もしどうしても休憩を取れないなら、時間管理のためにタイマーを使うのもおすすめですよ。
スマートウォッチの「座りすぎアラート」も役立ちます!
仕事が終わったら必ずオフに切り替えを!
オンオフをしっかり区別するためには、仕事を終えた後にきちんとスイッチをオフにすることが重要です。
翌日以降もスムーズに切り替えできるよう、仕事を終えたらプライベートモードに移行する習慣をつけてください。
お風呂に入る
スイッチを完全にオフにするためには、仕事終わりにお風呂に入ってリラックスするのが効果的です。
心も身体もリラックスするには、38〜40度程度のぬるま湯で半身浴することが望ましいとされています。ぬるいお湯は副交感神経を刺激し、ゆったりとした気分になります。
また適度な水圧が老廃物の排出を促すだけでなく、デスクワークで滞りがちな血行も促進するのです。
半身浴は物足りない!肩までゆっくりお湯に浸かりたい!という場合は、入浴時間を短くしてください。長時間の全身浴はかえって身体を疲れさせます。
適切な温度、適切な量、適切な時間を保ってお風呂に入ることで、心も身体も自然とスイッチオフの状態に移行することができますよ。
リラックス効果を高めるために、良い香りの入浴剤を使うのもおすすめです!
仕事道具を片付ける
その日の作業を終えた後、「どうせ明日も使うから……」と仕事道具を散らかしたままにしている人、多いのではないでしょうか?
実は筆者もそのうちの1人でした。
しかしこれは「図らずもいつでも仕事に戻れる体制を作り上げている」ということ。自宅と仕事部屋を物理的に切り離すことができない在宅ワーカーにとって致命的です。
常に仕事ができてしまう環境下ではいつまでもスイッチをオフにできず、だらだらと仕事し続けることになりかねません。
しっかりとスイッチをオフにするためにも、仕事を終えたら物理的に仕事道具と距離を取るようにしましょう!
ものぐささんは仕事の机に大きな布を掛けるだけでも効果アリ。
オンオフを上手に切り替えて、快適なリモートワークを!
リモートワークの中でもとくにハードルが高い、自宅での作業。
誘惑だらけの空間で仕事にしっかり集中し、成果を上げるためには、スムーズなオンとオフの切り替えが絶対に欠かせません。
オンとオフの切り替え方法は人それぞれ。自分にぴったりの切り替え方法を見つけてください!