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チャットの印象がリモートワークの充実度を左右する|人材育成の視点から(2)

文字だけのやり取りは難しい。

リモートワークでチャットを使う機会が増え、これまで以上にテキスト・コミュニケーションの難しさを感じている人が多いのではないでしょうか。

そう言いつつも私たちは電子メールやLINEを使いこなし、円滑な対人関係を保っています。

さてリモートワークを長年続けていて感じているのが、チャットに求められる「曖昧さ」です。

電子メールはフォーマルなやり取り、LINEは(ビジネスユースもありますが)プライベート使用がメイン。ビジネスチャットはこの中間を行き来し、どちらに寄せるかは自分次第。

対面では相手の表情が見えるので、相手の温度感に合わせて熱くも冷たくもできます。「どちらの温度に寄せるべきか」なんて意識することなく会話できていました。

相手が合わせてくれることだってあります。自分流を貫いてクールに対応していても、相手が「この人はそういう人だから」と認識していれば支障ありません。

ビジネスチャットでは「文面」から相手の温度感や感情を推し量ります。つまりあなたの印象は「文面」で決まるということなんです。

チャットの印象は良いに越したことはない。今回はそんなお話です。

言葉のボールはふんわりと投げる

テニスボール
https://unsplash.com/photos/hFNPkoErCwY

フリーランスに転向してすぐ、クライアントの指定でChatWorkを使い始めました。ビジネスだから絵文字・顔文字なんてもってのほか、「!」も使わないというのがマイルール

しかし自分で作ったルールを押し通すことで、少なからず損をしているのかもしれないと感じるようになりました。

2種類のチャット文面

執筆をサポートしてくれる担当編集さんはチャットの文章がとてもやわらかく、惜しげもなく「^^」「!」を使っていました。かしこまった印象はゼロ。

フリーランスとクライアントサイドには見えない上下関係があって当然だと思っていましたが、それを全く感じさせない文面でした。

一方、校正担当者の1人がとてもそっけないチャットを送る人でした。

例えば、記事に必ず入れなければいけない項目を入れ忘れていたとしましょう。

  • 担当さん:皆さん最初は見落としがちなんです。納品前に〜するとミスが防げるので次からやってみてください!
  • 校正さん:納品前の確認を必ずやってください。確認すればミスが起きないはずです。

こんなふうに返信がきます。

強い指摘は届かない?!

手のひらを向ける男性
https://unsplash.com/photos/-M_f3f8DGRg

人間は不思議なもので、強く押されると強く押し返したくなるんですね。指摘されると指摘し返したくなります。確認を怠ったのではなく確認項目の1つが漏れただけだ、と。

ドッジボールで速く鋭いボールが向かってくると弾くか、避けてしまいますが、ゆるいボールなら簡単にキャッチできます。そんなイメージです。

実際言い返したりしませんが、心のどこかで反発心が芽生えるのは確かです。そして返信は「申し訳ございません、気を付けます」となります。

他方、担当さんは見落としを防ぐ方法を提示し、前向きな雰囲気で文章を締めています。「ありがとうございます、次からやってみます」という形で返信できますね。

気持ちよくやり取りできる方がいい

担当編集さんがチャット外でも穏やかで仏のような心を持つ人なのか、校正担当者が冷たく厳しい人なのかは分かりません。知る必要はありません。

困ったときに相談しやすいのは前者です。例え画面の向こうで「また面倒な質問を……」という顔をされていたとしても、見えるのは文章だけ。それなら気持ちよくやり取りできる人を選ぶでしょう。

この事に気付いてからはマイルールを廃止し、画面の向こうにいる相手と「会話する」ことを意識しながらチャット文面を作るようになりました。

キツい印象が仕事を遠ざける

PCの前で手を組む男性
https://unsplash.com/photos/kRNZiGKtz48

マネージャーとしてやり取りをする中、複数のディレクターから「◯◯さん(特定の1人)とのやり取りが苦手だ」という話を聞きました。

その方はチャット文面に「怒り・不満」以外の感情を乗せず、感謝の言葉も少ないタイプ。周囲に「キツい人」という印象を与えています。仕事をお願いしにくい、ミスを指摘されるのが怖い、という声があちこちから……。

私がライターを始めた頃から在籍している方です。文面は確かにキツくて私もギョッとしたことはありますが、悪意があるわけではありません。またチャットの相手が誰であっても対応に差をつけないのが良いところです。

しかし「仕事をお願いしにくい」という声があったことから、その方は仕事をする「機会」を逃している可能性があるなと感じています。

パーソル総合研究所が行った「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によると、仕事の受け持ちや仕事量についての悩みを抱える方が少なからずいることが分かります。

また仕事が減ることで社内における自身の存在意義が感じられず、それが引き金となって「テレワークうつ」に陥る方もいます。

パーソル総研の調査は雇用型のリモートワーカー主体ですが、フリーランスは「仕事がない=収入がない」となるため更に深刻です。

チャット文面のキツい印象が、リモートワークにおける様々なネガティブを引き寄せている可能性があるのです。

人も仕事も引き寄せるチャットのポイント

オンライン通話
https://unsplash.com/photos/qnWPjzewewA

良い印象を与えるチャットにしなければ!と気負う必要はありません。

今まで育成の現場で実際に伝えたことや、マネジメント陣で話題になった事例から、仕事をスムーズに進めるチャットのポイントを挙げてみます。

重要なことは「通知」する

多くのビジネスチャットにはスタンプ・リアクション機能がついています。ポンと押すだけで便利ですが、使い所に注意しましょう。

というのも、例えばChatWorkの場合、リアクションを打っても相手に通知が届かないからです。

こちらから仕事依頼のチャットを送ったものの何の音沙汰もない。リマインドのためにチャットを開くと、私のチャットに相手がリアクションをつけていたことが分かりました。

リアクションがつくとスレッドが上位に上がってきます。しかしスレッドの入れ替わりが激しいため全く気付かず、もちろん通知も来ません。

ちょっとしたお礼に対して「いえいえ〜」と返していたら終りが見えませんので、リアクションで済ますほうがいいでしょう。「読んだらリアクションお願いします!」というチャットはリアクションで返すべきです。

ですが仕事の依頼や、相手が自分のために何かやってくれたときは、通知が届く形でチャットを送ることをオススメします。

苛立ちチャットは絶対に読み返す!

先日、後任マネージャーさんとの間で話題になったのが「怒っているときのチャット」です。

イラッとしたとき、勢いに任せて文面を打つのは構いません。でも、送信ボタンを押す前に必ず読み返してください。

アンガーマネジメントの世界では、6秒カウントすれば怒りが消えるといわれています。個人的には「消える」はないように思いますが、それでも冷静になれるのは確かです。

怒りに任せてキーボードを叩いたチャット文面を読み返す頃には冷静になっているので、キツすぎる表現を見て自分の大人気なさに気付くことも……。

厳しい文面が必ずしもNGとは限りませんが、その中で相手が窒息してしまわないよう、どこかに空気穴を作っておきたいものです。

明るさより穏やかさを意識

唐津の猫
穏やかな猫/筆者撮影

テンション高めの明るさより、いつもフラットな落ち着きや穏やかさを意識するといいでしょう。

新入社員のメンタリングを1ヶ月ほど担当したのですが、その中の1人があまり「!」を使わず、本当に感情が動いたときだけ「!」を付ける人でした。

メンターの役目を終えてしばらくすると、なぜかあちこちに「!」が……。どうやらチャット文面を誰かに指摘されたようなのです。

常にテンションが高い状態に保てればいいのでしょうけれど、ちょっとイラッとすると「!」が全て消えて苛立ちが丸見えなんですね。当然、メッセージを受け取る側にもその温度は伝わるでしょう。

感情の起伏は大きければ大きいほど、相手の感情を巻き込みます。感情の起伏の原因が何であれ、相手は不安を感じてしまうのです。

日頃からフラットなテンションを心掛けていれば、チャットに表れる感情の起伏は小さく済み、相手に余計な不安を与えずに済むでしょう。

オススメは穏やかな文面

頬に指をつく女性
https://unsplash.com/photos/CZ9AjMGKIFI

チャットを送るたびに、相手に与える印象を気にしていたら仕事になりません。

常日頃から穏やかな文面を心掛けておけば悪い印象を与えませんし、相手の感情にも自分の感情にも振り回されずに済むでしょう。

仕事を頼みやすい人、質問しやすい人、ビジネスマナーが身についている人の多くはチャットの文面がとても穏やかです。

リモートワークといえど、人と人との関わり合いはなくなりません。自分も相手も余計なことを考えず仕事に打ち込める雰囲気を作っていきたいですね!

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About the Author

中山沙織
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一帖半執筆工房代表。

フリーランスに転身後、ライターからエディター・マネージャー・GMに至るまで全てリモートワーク。

現在はデジタルマーケティング企業の人材育成コンサルタント。

趣味は写真撮影とRAW現像とデジタルガジェットを見てニヤニヤすること。