在宅業務における強敵は何ですか?食欲?ゲーム?動画?ご近所の笑い声?
ペットとともに暮らしているリモートワーカーからは「ペットこそ真の強敵」という声が聞こえてきます。
でもこうした声の半数以上は、いわゆる「のろけ」だと思ってくださいね!
筆者はかれこれ5年以上、2匹の猫がいる環境でリモートワークを継続してきました。
リモートワークとペットの関係を考えると、メリットが実に多いんです。もちろんデメリットもあります。
ペットと暮らす家でリモートワークを始めようか迷っている方に、ぜひ知っていただきたいメリット・デメリットを、実体験を添えてご紹介します。
ペットがいる環境でリモートワークするメリット
メリットは、挙げればきりがないほどたくさんあります。
何を飼うのか、犬なのか猫なのか、はたまた鳥なのかによっても変わるでしょう。
まずは代表的なメリットをいくつか挙げてみます。
ペットが喜ぶ
仕事から帰って玄関の鍵を開けようとしているとき、既にドアの向こうで犬や猫が待機している。ペット飼育あるあるですね。
家に誰もいないと、飼い主がいつ帰ってくるのか不安で仕方ありません。実はこうした状況が、ペットのストレスになっているのだとか。
飼い主の帰宅を心待ちにしている彼らにとって、飼い主が常に家にいる生活はとても嬉しいものです。
リモートワークの孤独が回避できる
リモートワークの孤独感は、テレワークうつの引き金になることが知られています。
ペットがそばにいると「疲れた!」「手伝ってよ」と、無意味だとわかっていてもついつい話しかけてしまいがち。
でもこれこそが、孤独の回避につながるのです。
いつも怖い顔で仕事している上司も、在宅勤務中はペットに話しかけているかもしれませんね。
快適な室内環境が維持できる
夏場はペットのためにエアコンを付けたまま出社する方がいますが、天気の急変で少し肌寒くなると不安です。
2021年の夏は、まさにこのパターンでしたね。
冬場は寝床を整えてあげたり、ホットカーペットをつけたままにしたり、さまざまな工夫をしているのではないでしょうか。
リモートワークなら、室内環境を常に快適な状態に保てます。電気代を無駄にすることも、気温の急変で焦ることもありません。
最大のメリットは変化に気付き、対応できること
ペットは痛みや苦しみを言葉にできません。そのため「ペットがいつもと違う様子だったら病院へ」といわれています。
しかし、週5日出社していると「いつも」の積み重ねが少なく、ペットの変化に気付きにくいものです。
リモートワークなら、異変にいち早く気付くことができます。
休憩がてら様子を確認
ペットとは別の部屋で仕事している場合でも、休憩時間にはチラッと様子をうかがうことができます。
また、元気な鳴き声が時折聞こえてくることもありますね。
同じ室内にいなくても、様子・雰囲気が感じ取れる距離にいることで、飼い主もペットも安心できます。
看病・介護も可能
筆者は2021年12月初旬に18歳の猫を亡くしました。
この猫は6年ほど前に呼吸器の病気が見つかり、発作が起きるたび酸素吸入を行う必要がありました。
当初は病院勤務だったため、留守中に発作が起きないか気が気ではなかったのですが、リモートワークになってからは安心して仕事に取り組めるようになりました。
また、最期は老衰で酸素は必要なかったものの、視力がほぼないうえに歩けないのに寝床から脱走。低体温や事故の危険がありました。
リモートワークなら、猫の様子を見ながら仕事ができるんです。筆者はノートPCがありますが、スマホでもある程度の業務が進められます。
病気や看取りはできるだけ避けたいものの、避けては通れません。
猫とじっくり向き合い、最期の時間をともに過ごせたのはリモートワークのおかげです。
こういった時間を持つことで、後悔なく看取れるのだと感じました。
ペットがいる環境でリモートワークするデメリット
もちろんデメリットもあります。
しかし、デメリットにならないように対策を打つことは可能です!
かまってほしくて邪魔をする
リモートワークの導入が一気に進み、SNS上には飼い主のPCの上を占領するペットの写真がたくさんアップされていました。
飼い主が家にいるのですから、かまってほしいのは当然です。また、PCの発熱はペットにとって心地よく、ホットカーペット感覚で寝そべってしまうようですね。
つまり、ペットは何も悪くありません。
邪魔されたくないなら、ペットが入らない部屋で仕事しましょう。
部屋が確保できないかたは、ペットが甘えてきても毅然とした態度で接することが大切です。
飼い主がここに座っているときは甘えたらダメなんだ、と頭のいいペットたちは学習してくれます。
ついついかまってしまう
週2日+夜間しか接していなかったペットと、毎日一緒にいられます。ペットだけでなく飼い主にとってもうれしいことです。
だからといって、頻繁にかまいすぎてしまうのはよくありません。
飼い主が留守の間を「休む時間」にあてていたペットは、リモートワーク開始とともに起きている時間や活動する時間が増えます。
人間と同じように疲労は免疫力を低下させますし、突然の生活の変化がストレスになることもあるのです。
とはいえ、リモートワーク開始当初の一時的なものですから、深刻に考える必要はありません。
一時的、で収まらない方は気を付けてくださいね!仕事してください!
機器類の破損や汚れ
自分が気を付けていても、テーブルに飛び乗ったペットが飲み物をこぼしてしまうかもしれません。もし機器類に水が侵入してしまったら……。
机に乗らないようにしつけられればいいのですが、飼い主の目を盗んで飛び乗ることもあるでしょう。
飲み物は蓋つきのカップに入れる、機器類の下に下駄を履かせておくといった対策を講じてください。
ケーブル類をかじってしまうペットもいます!
リモートワークの孤独を埋める道具にはしない
一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」によると、コロナ禍で犬・猫の新規飼育者の割合が増加したそうです。
この結果に対し、同協会は以下の仮設を立てています。
犬の飼育率は経年で低下傾向がみられ今後の飼育意向も低下傾向。猫の飼育率および飼育意向は横ばいとなっている。 その中で1年以内新規飼育者の飼育頭数は、犬・猫共に19年と比べて増加しており、増加率もそれ以前の年に比べて大きいことから、コロナによる影響がうかがえる。
一般社団法人ペットフード協会 「令和2年 全国犬猫飼育実態調査」 https://petfood.or.jp/data/chart2020/11.pdf
今までは留守がちでペット飼育を諦めていた方は、リモートワーク継続が決まったことで飼育に踏み切れるのでしょう。
飼育の目的としては「癒やし・安らぎ」を挙げる方が多く、当然「孤独」を解消する目的で飼育する方もいます。
以下にMOFFMEのアンケート結果を示しました。ペットを飼い始めて1年弱の方を対象にしています。
画像出典:MOFFME
飼い始めてまだ1年。それでも15%の飼い主が、何かしら後悔していることがわかります。
後悔の理由を見てみると「思っていたよりも〜」というものが多く、ペットを飼うなら当然では?と感じる内容がほとんどです。
また同アンケートでは「飼育前にペットの飼育についてどの程度調べたか」という設問も実施しており、全く調べずにペットを迎え入れる飼い主がいることがわかりました。
子犬・子猫の保護も急増しており、コロナ禍による生活の変化、特に在宅時間の増加で安易にペットを飼い始める方が少なくないことがわかります。
今後もリモートワークが継続できるかわからない状況で、新たにペットを迎え入れるのはハイリスクです。
またペットも人間と同じように性格がバラバラで、手がかかる子、よく鳴く子、病気がちな子もいます。
「さみしいから」で飼い始め、結果的にペットがさみしい思いをすることがないようにしたいですね。
ペットを理由に仕事を休まざるを得ないこともあります。
ペットを迎え入れるなら今後の働き方を見据えた判断を
今後もリモートワーク・ハイブリッドワークを継続する会社と、出社業務に戻る会社があります。
「どうやらリモートワークが続くらしい」程度でペット飼育を始めるのはおすすめできません。生活がある程度安定してからのほうがいいでしょう。
出社に戻ることがわかっていながら、一時的な孤独回避のために飼うのはもってのほか。
犬・猫の寿命は15歳前後といわれています。
長い時間をともに過ごす「家族」として、準備万端整えてから、暖かく迎えてあげましょう!