新型コロナウイルス感染症の流行によって、テレワークへ移行する人が増えました。
テレワークには多くのメリットがある反面、この働き方によって「孤独」を強く感じた人々が「テレワークうつ」と呼ばれるメンタル不調に陥っています。
リモート業務が主体、かつ企業など集団に所属しないフリーランスは、常に孤独の脅威にさらされている状態です。
しかし孤独を感じてもメンタルに影響が出ない人もいます。
孤独は私たちの心身に対してどのように作用するのでしょうか。孤独に打ち勝つ人とそうでない人の違いは?
今回は孤独が人に与える影響やリスクに加え、孤独感を可能な限り和らげる方法も考えていきます。
孤独が与える影響
「人生の3大不安」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
- 病気
- 貧困
- 孤独
テレワークうつの引き金になるといわれる孤独は、病気・貧困とあわせて「人生の3大不安」のひとつに数えられます。
孤独感を無視し続けると、テレワークうつだけでなくその他の重大な問題にも繋がりかねません。
孤独が与える影響
孤独については数多くの研究がなされており、その多くで「孤独は人に様々なダメージを与える」という結果が出ています。
- 喫煙による害悪と同等の影響を与える
- 死亡リスクは肥満が1.2倍、喫煙が1.6倍であるのに対し、孤独は1.9倍
- 脳卒中や心臓病・認知症のリスクを高める
こうしたダメージの原因は、孤独感からくるストレスだといわれています。
しかし孤独を感じたからといって上記の影響が早期に訪れるわけではありません。
このストレスは以下のような問題に繋がります。
- 生活の質の低下
- 免疫力の低下
- 認知機能の低下
そして少しずつ、私たちの生活をむしばんでいくのです。
生活の質が低下する
孤独感を満たそうとして過剰に食べるようになり、暴飲暴食から食生活の乱れに繋がります。
また眠れなくなったり、反対に長く寝すぎてしまったり、睡眠の質も低下します。
免疫力が低下する
ストレスがかかると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。
よく耳にする「自律神経の乱れ」とは、このバランスが崩れた状態を指します。
それによって人間の免疫機能も影響を受け、風邪をひきやすくなったり病気にかかりやすくなったりするのです。
認知機能が低下する
ストレスによって分泌されるホルモンのひとつ「コルチゾール」は、代謝を促進したり血糖値のバランスを維持したりと、本来は生命維持に欠かせない物質です。
また副交感神経を刺激することで脳を覚醒状態にし、ストレスに対応できる状態にしてくれるというポジティブな一面もあります。
しかし過度のストレスによってコルチゾールの分泌バランスが崩れると、脳細胞の減少や脳の萎縮を引き起こし、結果的に記憶力や認知機能の低下に繋がるのです。
また脳が萎縮すればするほど、人はストレスに対処できなくなります。
その結果、小さなストレスにも過敏に反応するようになり、睡眠障害や頭痛など身体的な不調、うつ病など精神的な不調に繋がっていくのです。
フリーランスは孤独を感じやすい?
あくまでも筆者個人の考えですが、「フリーランス=孤独」と言い切ることはできません。
ただし会社員などと比べれば、孤独を感じやすい働き方だといえるでしょう。
フリーランスの中で、特に孤独の脅威にさらされやすいと考えているのが、会社員からフリーランスへ転向した直後の人。
それは会社員の働き方=出社と、フリーランスの働き方=リモートに大きなギャップがあるからです。
孤独によるストレスを感じる原因
筆者は過去に、会社員としてオフィスに勤務していた経験があります。
会社員とフリーランス、ふたつの働き方を比較してみると、フリーランスだからこそ感じやすいストレスがあることに気がつきました。
発散できる場がないから
たとえばオフィス勤務の場合、コミュニケーションの機会がたくさんあります。
- 業務前後の雑談
- ランチ休憩中の雑談
- 喫煙中の雑談
業務に関連する会話はもちろんのこと、ちょっとした時間に雑談をする機会が溢れているのです。
嫌なことがあれば愚痴を聴いてもらえますし、反対に嬉しいことがあればその気持ちをすぐに共有することもできます。
しかしフリーランスの場合、こうした「業務以外の何気ない会話」に対するハードルがグンと高くなります。
- 相手の状況が見えない
→今チャットを送ったら迷惑だろうか……。 - 伝えたいことがあるものの文字に起こす必要がある
→文字にしたらこの熱量は伝わらないのではないか……。
フリーランスにもコミュニケーションの機会はそれなりにあるはずです。それでも孤独を感じてしまうのは、会話の総量が圧倒的に少ないからでしょう。
助けを求められない(と感じてしまう)から
オフィスに勤務していると、近くに上司や同僚がいます。
困ったときは「ねえねえ、ちょっとこれ……」と、気軽に助けを求めることができていました。
しかしフリーランスには、その場ですぐに頼れる相手がいません。
もちろん、困ったときはクライアントに相談するのは当然のことです。
しかし、対面なら数秒で済むちょっとした相談をわざわざチャットにまとめ、それをわざわざ相手に送らなければなりません。
加えて相手には確認と返信の手間を取らせるため「こんな小さなことでは頼りにくい……」と感じてしまうのです。
そして何より……フリーランスは結果主義!
「こんなことも解決できないようでは、仕事を継続してもらえないのではないか」
こうした不安感から、頼ることを避けてしまう人も、なかにはいるかもしれません。
余計な想像力が働くから
上司や同僚と一緒に仕事をしていれば、相手がいまどのような状況か目で見て判断できます。
- いまは手が空いているように見えるから声をかけよう
- いまは立て込んでいるように見えるから、この件は後から伝えよう
相手の様子から判断して臨機応変に対応できますね。
しかしリモートワークでは相手の状況が見えません。そうなると、ついネガティブな想像力を働かせがちです。
- いま忙しいのではないだろうか
- いま連絡したら迷惑になるのではないだろうか
「失敗したら・迷惑をかけたら」というマイナス思考に陥って連絡を避けがちになり、ますます孤独感が高まってしまうのです。
孤独感を和らげる方法
孤独によるストレスを感じているかた、あるいは感じているかもしれないと思ったかた。
- SNSを使う
- 声を出して話す
この2つの方法を試してみてください!
SNSを使う
以下のような孤独を感じているかたは、SNSの活用がおすすめです。
- 所属する集団がないことへの寂しさ
- 仲間がいないことへの寂しさ
仕事に関係のない世間話をしたり、愚痴を聞いてもらったりと、まさに業務以外の何気ない会話を実現できます。
筆者もSNSを通じて、同じ職種のフリーランスと出会うことができました。
ただしオープンなコミュニティなので、発言の内容にはご注意を。
声を出して話す
「会話」の機会が不足しがちなフリーランス。
そんなときに話しかけられる相手・寄り添ってくれる相手がいれば、孤独が和らぎます。
- 家族や友達
- 飼っているペット
- 育てている植物 など…
また、通話できるアプリを使うのもおすすめです。
作業通話アプリの「mocri」を使えば、同じチャットルームに入室した人同士で会話を楽しむことができます。
mocri(もくり) – ふらっと集まれる作業通話アプリ
MIXI, Inc.無料posted withアプリーチ
顔を合わせたことのない相手とも繋がることができるので、身近に会話できる人がいないときにおすすめです。
ペットの力は偉大ですが、「寂しいから」という安易な考えだけで迎え入れるのはやめましょう。
「孤独」を味方に!
集団に属さず、1人で仕事をこなすフリーランスは、確かに孤独なのかもしれません。
しかし、孤独=ひとりだからこそのメリットもあるのではないでしょうか。
「孤独」には、どうしてもネガティブなイメージが付き纏います。
しかしこうした先入観を取り払ってポジティブな面に目を向けてみると、孤独が「ひとり・自由」に変わっていき、仕事が楽しめるようになるかもしれませんよ!