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リモートワークには想像力が必要|人材育成の視点から(1)

メディア運営企業のプロジェクトマネージャーとして、リモートワーカーやオフィス社員の育成に携わってきました。

この企業は設立当初からリモートワークを主体にしており、リモート環境での研修・教育体制が確立されています。研修を受ければ誰でも一定レベルのスキルが獲得できるような内容です。

しかし同じ時期に同じ研修を受けた人でも、少しずつスキルレベル(手技もコミュニケーションも)に差が生じ始めます。この差によって、安心して仕事を依頼できる人とそうでない人に分かれていくのです。

両者の違いは何なのか。飲み込みの早さ・頭の良さとは違うファクターがあるように感じ、過去のチャットを見返し、ミーティングメモをさかのぼってみました。

たどり着いた結論は「想像力」です。リモートワークで活躍する人は皆一様に想像力を使っています

リモートワークに移行してから仕事がやりにくくなった人や部下の指導に戸惑っている人は、ぜひ「想像力」に着目してみてください。

「見る・見せる」が使えないリモート環境

忙しそうな女性
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職場で後輩が「忙しそうですね」と声を掛けてきたとします。後輩はなぜ忙しいと判断したのでしょうか。きっとひっきりなしに電話を受けていたり、昼休みもPCに向かっていたりする様子を見たからですね。後輩はあなたが忙しいかどうかを見た目で判断したことになります。

私たちは職場で「見る・見せる」をフル活用していたと思うのです。上司の機嫌が悪そうに見えたら地雷を踏まないようにするし、外出の準備をしていたら報告を後回しにする。実は少々悪用することもできます。仕事しているフリ、忙しそうなフリができてしまうのです。

締め切り間近に頭を掻いていたら上司が納期を延長してくれるかもしれません。ミスしても、泣きそうな表情で謝れば怒られずに済むかもしれません。心底ムカつく場面でニコニコしながら居室のドアを乱暴に閉めるパフォーマンスもできますね。

「見る・見せる」という視覚情報は私たちを良くも悪くも助けてくれていましたが、リモートワークに移行して役に立たなくなり、「演技派」の人は切り札を失いました。

今回のテーマ「想像力」が視覚の代替になるわけではありません。この2つは全く別の文脈として考える必要があります。ただ、視覚に頼っていた自覚がある人は「想像」を意識していただきたいのです。

リモートワークと想像力の関係

ノートPCで仕事する女性
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リモートワークに必要な想像力とは、どういった場面で何をイメージする能力なのでしょうか。リモートワークで活躍している人の業務上の共通点を調べ、何を想像しているのか考えました。

なお「リモートワークで活躍」としましたが、リモートワーカーとやり取りを行う出社社員にも共通します。

共通点1:時間や締切を守る

腕時計
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時間と締切を守ることは社会人として当然なのですが、できない人・しなくていいと考える人がいます。

会社の終業時間は17時。16時半までに書類を提出してほしいと言われた場合、30分余裕があると考える人は想像力が足りません。10分くらい遅れても大丈夫だろうと思ってしまうタイプです。30分間に何が行われるか想像できる人はリモートワークがうまくいく人でしょう。

時間を守る人が想像するのは仕事の流れです。書類作成なら次にチェックが行われ、最終的には何らかの場面で使用することになります。全体像まで掴めなくても、自分が提出した書類を誰かがチェックすることぐらい想像できるはずです。

チェックして上長の確認を経て取引先に送る。このための30分だとしたら?提出が10分遅れると取引先への送付が10分遅れるだけでは済まず、翌日回しになる可能性もあります。

万が一遅れる場合でも、仕事ができる人は早い段階で連絡を入れます。自分の遅延によって、報告を待つ人やその後の仕事の流れに影響が出るわけですから当然ですね。

出社業務でも行うべきことかもしれません。でも出社すれば周囲の会話から様々な情報を得ることができ、意識せずとも仕事の流れが把握できたりします。締切に対してピリピリムードなのかどうかも分かりやすいでしょう。あえて想像する必要がないのです。

また職場では万が一遅延しても「ちょっとバタバタしていて……」という視覚頼りの言い訳が通用するかもしれません。しかしリモートワークではバタバタしている様子が見えませんし忙しいのは皆一緒。たとえ事実であっても目に見えなければ言い訳にならない、ということを心に留めておきましょう。

「自分の時間を大切にしたければ、まずは相手の時間を大切にしてください」

人材育成で頻繁に登場する言葉です。これに尽きます。

共通点2:質問の数は多くても質問の回数が少ない

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仕事の質問はチャットを使って行うわけですが、仕事ができるリモートワーカーは質問の回数が少ないという共通点があります。1つのチャット投稿に複数の質問をまとめるため文字数は多くなりますが、回数は少ない傾向です。

※リモートワークにおけるチャットルールとして「短文・即レス」を基本としている場合は以下が当てはまらないかもしれません。

ビジネスチャットでは質問チャットを送るたびに相手に通知が入り、相手の作業を止めることになります。想像するまでもないですが、想像しない人は実際驚くべき頻度で質問を寄越します。またリモートワークでは相手が離席している可能性があります。これを想像しない人は「締切に遅れたのは回答が遅いせいだ」と不満を漏らします。

仕事を依頼されたらまずは内容を確認し、分からないことは最初にまとめて質問する。リモートワークで活躍する人の共通点です。

共通点3:1つのチャットに情報を凝縮させる

スマホで確認
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仕事ができるリモートワーカーはチャットでの報告がうまいんです。うまいという平易な言葉で表現したくないのですが、それ以外に思いつきません。リモートワークでは相手がどのデバイスを使ってチャットを読んでいるか分かりませんし、その場で手早く確認したい状況かもしれません。

仕事ができる人は、最も確認しにくい状況を想定し、確認しやすい形で報告するのです。

例えばExcelならキャプチャを撮って、ファイルを開かなくても画像だけで数字が確認できるようにする。必要ならログイン情報を添えておく。急ぎで確認してほしいものは期日を遠慮なく明記する。原稿を修正した場合は修正した個所をbefore/afterで報告する。

あちこちのソフトを立ち上げたりアイパスを調べたりする必要がないので、報告を受けた人は1つのチャット投稿を起点として短時間で確認を終えることができます。

共通点4:チャットをナレッジベースとして活用する

ナレッジベース
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チャットには様々なやり取りが記録されています。リモートワークで安心して仕事を任せられる人は、チャットをナレッジベースとして活用しているのが共通点です。

「質問回数」の項目に記載した通り、質問してもすぐ回答が得られるとは限らないのがリモートワーク。仕事ができる人は、過去に同じような業務・質問があったはずだと考えてチャット内を検索し、自分で回答を見つけ出します。チャット内を検索していると全く無関係な情報もたくさんありますが、何気なく目で拾っていた情報が後々の仕事で役立つことが結構あるのです。

分からなければとりあえず検索する。簡単なことなのに、何度言ってもやらない人がいて驚いてしまいます。自分で探すより質問したほうが早い、というのは過去の話。リモートワークでは必ずしも早いとは限りません。

想像とは無関係ですが、情報を探そうとしない人に仕事を任せようとは思いません。質問攻めに遭う未来が見えるので……。

必要なのは「人と仕事」の想像

白い部屋の女性
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リモートワークで活躍するのは気遣いができる人、という見方もできますがこれは本質を捉えていない可能性があります。確かに気遣いができる人は多い印象です。気遣いの目的がどこにあるかがポイントでしょう。

会社員でもフリーランスでも、担っているタスクは大きな仕事の中の一部。これを認識していない人は、自分のタスクさえ完了すれば満足します。認識している人は、自分の手が届く範囲=自分のタスクに直結する人の仕事をスムーズにする方法を考えます。

スムーズに完了すれば次の仕事にいち早く取りかかれて、仕事の進みが早くなれば会社全体の動きが良くなり、最終的には自身の評価にもつながります。ここで欠かせないのが想像力です。

手が届く範囲にいる「人」を想像し、タスク1つではなく「仕事」全体を想像し、円滑にまわすことを目的として気遣いをします。相手に好印象を与えることを目的とした気遣いは必要ありません。自己犠牲だらけの気遣いも同様です。

リモート「ワーク」だから、仕事の成果につながる想像と気遣いが武器になります。この武器をいち早く身につけた人は、今後のリモートワークで活躍するはずです。

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About the Author

中山沙織
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一帖半執筆工房代表。

フリーランスに転身後、ライターからエディター・マネージャー・GMに至るまで全てリモートワーク。

現在はデジタルマーケティング企業の人材育成コンサルタント。

趣味は写真撮影とRAW現像とデジタルガジェットを見てニヤニヤすること。